<小型バイクでツーリング>九州一周沿岸ツーリング記

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バイク歴2年半の初心者ライダー(♀46歳)が、赤いクロスカブ(110㏄)に乗って九州へ!総距離3,000キロ以上。2016年4月の大震災&豪雨で被害を受けた熊本・南阿蘇へも足を伸ばし、海岸線を時計回りにぐるり一周してきました。
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南阿蘇で単発ボランティア活動に参加〜南阿蘇村の被害

南阿蘇を中心にボランティア活動のコーディネートをしてくれる「南阿蘇復興支援センター よろず相談室」が拠点としている「カフェ ZINGARO」。私は自前のテントを設営したが、敷地内には立ったまま入れる大きなテントが何張かあり、中には簡易ベッドが置かれている。テントを持っていない人はそこに泊まることもできるし、周囲の宿や民泊なども斡旋してくれる。

カフェは週末だけ営業で、それ以外は各地から集まったボランティアの拠点として提供してくれている。キッチンスペースも利用させてもらえるため、滞在メンバーで朝食や夕食も自炊し食べることも。観光客の激減でカフェも深刻な事態に陥っている中だろうに、地域の復興のために大事な場所をこうして開放してくれるというのはすごいことだなあと。

そして一日目の作業場所が朝のミーティングで発表された。
長らくここで活動している男性を中心に3名で、被災した長野阿蘇神社の清掃作業に。

●長野阿蘇神社 - 南阿蘇村ホームページ

検索してみると、毎年10月に行われる「夜渡神楽(よどかぐら)」が有名で観光客も集まるところらしい。南阿蘇村のサイトでは、長野地区の10以上の神社やお堂が統合されたため、複数の祭神が祀られてるともあった。

行くと、地区の方が待っていてくれた。
傾いてしまった神楽殿・本殿の修復を早急に行いたいのだが、請け負ってくれるところがまったく手配できないそう。

まだ寄贈されてそれほど年数も経っていない新しい鳥居は倒壊してしまった。

本当に惜しいことだ。

そして立派な神楽殿。

本殿の彫刻も本当に見事なもの。
最初に話を聞いた時は集落の小さな神社かと思っていたが、そのレベルの建物ではまったくなかった。

しかし今、神楽殿も神殿も、地震により傾いてしまい、柱を支える礎石がずれてしまったりしている場所も多い。もしまた地震が来たら、あるいは土砂災害警戒区域の真ん中にあるこの神社、もし台風や豪雨で山から土砂が崩れ落ちてきたら・・・

「10月には秋祭りがある」

その準備として9月から集落の人たち十数人がここで宮籠りを始めるため、それまでに神楽殿の修復をしたいと語る長野地区の責任者の方。どうしようもない焦燥感が伝わってくる。

結局、本殿に入って中の片づけをするということはなく、神楽殿の下にあった丸太などの撤去と、庭の落ち葉掃除といった軽い作業程度でここでの活動は終了となった。私にも何もできないが、一日も早く元の姿になり無事秋祭りが催行されることを祈るばかり。


ちなみにこの長野地区は、震災から4か月たった今もまだ断水が続いている場所だ。

●断水今も 南阿蘇村の4地区692世帯 - 熊本日日新聞

断水が続いている場所があるという話は知っていたが、今なおこんなにも多くの世帯が断水状態とは知らなかった。南阿蘇は牛の飼育をしているところも多く、家庭での生活に必要な水だけでなく、牛の飼育のための大量の水が必要となる。そのため午前中は軽トラで大量の水を運ぶのが日課になっているそう。地震だけでなく、その後の豪雨が土砂崩れを各地で引き起こし、それにより災害復旧が大幅に遅れているのだという。やはり来てみないと見えてこない現実は大きいなと思った。

「そうしたら阿蘇大橋に行こう」

お昼からはボランティア拠点の方が南阿蘇の被害状況を案内してくれることになった。
ほとんど活動らしい活動もしていないのに申し訳ない気持ちになってしまったが、仮設住宅へのビラ配布作業もあるということで、自分ともうひとり東京からやはり単身でやってきて参加している同世代の女性で車に乗り込んだ。

まず訪れたのは、午前中に訪れた長野阿蘇神社もある長野地区。
地震と豪雨によって引き起こされた土石流で、ビニールハウスも破壊されていた。たくさんの木は山から流れ出したものがここで堰き止められたのだろうか。

至る所、通行止めになっている。

そうではない場所も、道はかなり危険な状況だ。

長陽運動公園仮設団地。
完成してまだ一か月ほどなので新しい。入居していない部屋も結構あった。

ちなみに配布したビラはこれ。
南阿蘇復興支援センターの主催で大阪から来たボランティアがコンサートを行うのでその案内だ。

仮設住宅からの帰途には別荘エリアも通ったが、土砂崩れでいつ落ちてもおかしくない建物も多数あった。
南阿蘇は、地震で直接被害にあった場所ではなく、その後の土砂崩れ・土石流で大きな被害を受けた場所が多い。地震報道が一段落した後のことで、断続的に発生していったため、メディアではあまり取り上げられていないのかもしれない。私自身、ここまでひどいとは認識していなかった。

そしてこの通行止めの先に何があるかというと・・・

阿蘇大橋の崩落個所だ。
この数日前、最後の行方不明者だった大学生が、ご両親や友人方の渾身の捜索の結果車と一緒に発見され谷底から引き上げられた。その映像をテレビで見てホテルでひとり涙していたのだが、あの夜、彼は、親友宅に水を持って訪ねていった。夏に封切になる映画を一緒に見に行く約束もしていたのだという。本震がまさかその後にくるなんて、そして土砂崩落で阿蘇大橋までが落ちるなんて、その瞬間に車でここを走っていたなんて。

南阿蘇村ではまだあちこちで土砂災害が起きる可能性があり、警戒が続いている。
この後台風シーズンとなり、再び降水量も増えるが、これ以上の被害がでないことを心から祈る。

観光客が激減している南阿蘇だが、それでもお盆中ということもあり、観光で支援ということで訪れている人もきっと多いのだろう。道の駅「あそ望の郷くぎの」には家族連れの姿も多かった。

阿蘇山を見渡せる好立地で、私は食べなかったがジェラートが美味しいらしい。
物産販売館の他、レストランもあり、ゴルフコースもあるという。

8月から営業再開しているペンションやレストランも増えてきており、温泉施設も営業している。


JTBパブリッシング、「るるぶ熊本 応援版」

8月中旬に発売されたこの応援版なら、南阿蘇へのルートや震災後の状況も踏まえた観光情報が掲載されている。
観光が大きな収入源になっていた人も多い南阿蘇では今きっと、観光で訪れることが大きな支援にもなると思うので、もし九州旅行を考えている人がいたらぜひ、南阿蘇にも足を伸ばしてほしいと思う。

私もせっかくだから、もっとあちこちまわってくればよかったとちょっと後悔だ(日程的にあまり余裕がなくちょっと焦っていた)。

夜はボランティアベースでカレーを作った。
日中ほとんど作業らしい作業をしなかったこともあり、晩御飯作り&翌日朝食のおかず作りに挙手した。

こんな大量のカレーを作ったのは久しぶりだ。

焦がし玉ねぎもたっぷり投入し、まあまあ美味しくできたかなと自画自賛♪