<小型バイクでツーリング>東北太平洋側沿岸ツーリング記録

<小型バイクでツーリング>東北太平洋側沿岸ツーリング記録

<小型バイクでツーリング>東北太平洋側沿岸ツーリング記録

免許取りたて&バイク買ったばかりの超・初心者ライダー(♀44歳)が、赤いクロスカブ(110㏄)に乗って青森・八戸から千葉の自宅まで一般道を1200キロ、海沿い中心に走ってきました。
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ルート計画

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ルートとスケジュールを計画するにあたって最大の課題は「一日の走行距離を何キロにするか」でした。長距離を走った経験がないため、「観光する時間も考えると一日何キロくらい走れるのか」見当がつかなかったのです。

特に岩手沿岸部は厳しい連続カーブの山道というところも多く、不慣れな自分としては緊張と疲労の蓄積で事故を起こしてしまう心配もありました。

いろいろ悩んだ末ルート案をFacebookで公開したところ、先輩ライダーからいろいろアドバイスもいただくことができ、三度ほど大幅変更。ルート計画の前提はこんな感じです。

  • ルートは一般道(110ccなので高速・自動車道は走行できない)
  • 一日あたりの距離を120キロ以内に収めるようにする
  • 大雨の日は休止、予備日を設け無理ないスケジュールにする


最終的なルート計画

■1日目(9/6)千葉自宅→大洗 56キロ/大洗18:30発(フェリー) 船中泊
■2日目(9/7)苫小牧13:30着/苫小牧21:15発(フェリー) 苫小牧泊
■3日目(9/8)八戸4:45着/八戸→黒崎 96キロ 黒崎泊
■4日目(9/9)黒崎→大槌町 109キロ ホワイトベース大槌泊(予約済)
■5日目(9/10)大槌町→陸前高田 76キロ 二又復興交流センター(予約申込中)
■6日目(9/11)陸前高田→石巻 133キロ 石巻泊
□7日目(9/12)予備日1日 石巻泊
□8日目(9/13)11:00~18:00 ツール・ド・東北ボランティア 石巻専修大泊
□9日目(9/14)4:00~18:30 ツール・ド・東北ボランティア 石巻泊
■10日目(9/15)石巻→相馬 103キロ 相馬泊
■11日目(9/16)相馬→(南相馬から迂回)→田村市 80キロ 田村市泊
■12日目(9/17)田村市→いわき市 64キロ いわき市泊
■13日目(9/18)いわき→小見川 152キロ

計869キロ

実際には、石巻豪雨のため手前の南三陸町で一泊したり、南相馬市に二泊した替りに南相馬からいわきまで一日で走行するなど、スケジュールはその時の状況次第で変更しました。

またGoogleマップで計測した際には869キロだったのですが、実際にはぐるっと遠回りした場所もあり、実際の走行距離は1,281キロと5割も伸びてしまいました。


フェリーで一気に北上!

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110ccの原付二種なので、「行きは高速・帰りは下道」のようなことができません。同じ道を行って戻ってくるのもつまらないので、行きはフェリーで一気に北上することにしました。

自宅が千葉北部の利根川沿いにあり、茨城の大洗港まで56キロ。
大洗港からは、北海道の苫小牧港に向かうフェリーが毎日でています。

便大洗港発苫小牧港着
夕方便18:30翌日13:30
深夜便01:45当日19:45

●商船三井フェリー(大洗─苫小牧)

運賃は時期によって異なりますが、9月初旬は4段階中安いほうから2番目の「B期間」。

エコノミールーム(B期間)9,050円
原付125cc以下/二輪400cc以下11,310円

さらにインターネット予約の場合「ネット割引」で旅客運賃5%引きになり、合計金額は19,910円でした。

当初、北海道の苫小牧港をスタート地点にする予定だったのですが、それだと走行距離がかなり伸びること、「北海道は飛ばす車が多いので初心者には危険」という話もたくさん聞き、苫小牧港から青森・八戸港までのフェリーを予約しました。

便苫小牧発八戸港着
べにりあ05:00当日13:30
シルバーエイト09:30当日18:00
シルバープリンセス21:15翌日04:45
シルバークイーン23:59翌日07:30

●シルバーフェリー(苫小牧─八戸)

2等5,000円
オートバイ125cc以下5,000円

ネット割引が10%で合計金額は9,000円です。

1日目 大洗港18:30発
2日目 苫小牧港13:30着/21:15発
3日目 八戸港04:45着

こんなフェリー乗継プランになりました。

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これは苫小牧港→八戸港のフェリーの女性専用2等船室です。
二晩フェリー泊で少々寝不足にもなりましたが、陸地近くを航行するため携帯の電波も届く場所が多く、電源も自由に使うことができたので、持参したパソコンでブログ記事作成をしたり、船内シアターで映画を見たりしながら、有意義な時間を過ごすことができました。

●フェリー乗り継いで茨城・大洗から青森・八戸へ!


青森県&岩手県

基本は国道45号線ですが、八戸港をでてからしばらくと、一泊目の宿を予約した普代村から北山崎など、海沿いの道がある場所はそこを走りました。

海から崖がそそり立つ雄々しい風景を楽しめるルートです。

国道45号線を大きくはずれたのは、宮古市のすぐ南にある重茂半島です。

●Wikipedia「重茂半島」

半島のほとんどを緑に覆われた山地や断崖が占めるため、三陸海岸でも指折りの秘境の様相を呈する。沿岸は全て三陸復興国立公園に指定されており、高さ100mほどの断崖絶壁が連続する。

初心者ライダーにとっては、なかなかどうしてハードでした。

●荒々しくも美しいリアス式海岸は初心者ライダーには厳しい地形だった~普代村から大槌町へ

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宮古市あたりから陸前高田市にかけては、津波で街全体が流され地盤沈下してしまった場所も多く、現在土砂を運び込んでのかさ上げ工事が急ピッチで進められています。そのため平日の国道45号線は、大型ダンプの通行量が非常に多くなっています。

フルフェイスのヘルメットだったので、特に目や喉が痛くなるということはありませんが、なにせこちらは110ccの原付二種。追い越してもらうことも難しい連続カーブの下り道では、真後ろに迫る大型ダンプに少々焦りを感じ、必死にスピードをだしてしまったりしまいました。

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沿道は津波によって集落や街が跡形もなく消失してしまった風景が続きますが、海に目をやると養殖イカダが整然と並ぶ穏やかな湾内の風景が広がっています。

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陸前高田から気仙沼までは、内陸部を走りました。
運休中の鉄道(ドラゴンレール大船渡線)と平行して走る県道34号線です。

国道45号線の陸前高田─気仙沼間も「フラワーロード」として整備され、海を眺めながら走ることができる美しい道なのですが、前日の大型ダンプの濁流に疲れてしまったのが理由です。県道34号線はカーブも多い山道ですが、見事なまでに他の車が走っておらず、マイペースで気持よく走ることができます。


宮城県

気仙沼から石巻市・塩竈・名取を経て山元町までが宮城県になります。

地図で見てもわかるように、石巻あたりまでは入り組んだリアス式海岸が続き、そこから先は比較的まっすぐな海岸線となります。実際、石巻から先は進むスピードがかなりあがった気がします。

南三陸町の中心部を通過した後、45号線は内陸部へと入っていきます。今回は女川・雄勝地区をまわって行きたかったので、45号線を離れ国道398号線を走りました。ここはその後石巻でボランティアスタッフとして参加した「ツール・ド・東北」のコースでもありました。海沿いにもかかわらずアップダウンが非常に多い地形です。

時間の関係で牡鹿半島はまわらず、女川町から石巻市へ向かいました。

国道45号線は青森市と仙台市を結ぶ国道なので、多賀城市を過ぎたあたりで離脱です。そこからは国道4号線、そして国道6号線へと入ってきます。

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山元町に入ったあたりで国道6号線を離れ、海沿いを走る県道38号線に入りました。
宮城県の南部の海岸沿いは平地が広がっています。そのため津波が広範囲にわたって奥まで押し寄せてしまいました。

枯野原がどこまでも続き、他エリアと比べても荒涼とした風景です。
この県道38号線は、福島県都の県境に近い磯浜漁港の少し先で途切れており、そこから先には進めなくなっています。


福島県

福島県の太平洋沿いには国道6号線が走っています。

ただ福島第一原発事故による通行規制が敷かれ、双葉町から富岡町にかけての14キロは一般の通行が規制され、また内陸も、福島第一原発から北西に向かって楕円形に制限区域が設定されているため、ぐるっと迂回する必要がありました。

私が南相馬市に到着した9月15日に国道6号線の規制が撤去され車は通行が可能になったのですが、まだ線量が高いこともあり、窓を締めることができないバイク・自転車・歩行者の通行は引き続き禁止。

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そのため、かなり大きく迂回していわきに向かうより他の道はありませんでした。

県道・国道の除染は急ピッチで進められているため、最短の迂回コースはその時々で変わっていくと思います。もしバイクでこのエリアに行く方は、最新の情報を調べてもらえたらと思います。

ちなみに原発事故にともなう制限区域は

  • 帰宅困難区域
  • 住居制限区域
  • 避難指示解除準備区域

の3つに区分されています。

帰宅困難区域は線量も高いところで基本的に一般の立入禁止となっています。
住居制限区域や避難指示解除準備区域は、居住は許可されていませんが、そのエリアに入ることは可能です。

南相馬からいわきへの迂回ルート上にも、飯舘村や富岡町などの住居制限区域や避難指示解除準備区域があるため、集落はあれど人はだれも住んでいない場所を何度も通過することになります。

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沿道には「除染作業中」ののぼりがはためき、撤去した表土や落ち葉などを入れた黒い袋がたくさん置いてありました。海沿いの津波被災地には巨大な仮置き場も作られています。

●南相馬からいわきへ!原発事故にともなう立入制限区域をぐるっと迂回して山道を走る

防塵マスクをした除染作業員が多数作業をしている富岡町を通過し、しばらく走ると福島県太平洋側最南端のいわき市に到着します。


いわき市から関東へ

いわき市を南下すると茨城県の北茨城市に入ります。
あとはそのまま国道6号線を直進すれば、水戸・柏などを通って東京に至ります。

私は千葉の利根川下流エリアに自宅があるので、途中から海沿いの道に入り大洗・鹿嶋を経て帰宅しました。

距離は長いですが、茨城は「アウトバーン」とも言われる平坦でまっすぐな道が続くので、それほど時間はかからず到着します。


実際に走ったルートと距離

9月 6日(土) 56km 13:00 自宅出発 18:30 大洗港出航
9月 7日(日) 32km 13:30 苫小牧港着<市内走行> 21:15 苫小牧港出航
9月 8日(月)132km 4:45 八戸港着 八戸港→岩手県普代村
9月 9日(火)156km 普代村→大槌町
9月10日(水)122km 大槌町→陸前高田市
9月11日(木) 66km 陸前高田市→南三陸町・・・石巻豪雨のため手前で一泊
9月12日(金) 88km 南三陸町→石巻市
9月13日(土) 6km ツール・ド・東北ボランティア<市内走行>
9月14日(日) 13km ツール・ド・東北ボランティア<市内走行>
9月15日(月)160km 石巻→福島県南相馬市
9月16日(火) 69km 南相馬市→浪江町→南相馬市・・・国道6号の検問地点まで往復
9月17日(水)200km 南相馬市─<迂回ルート>→いわき市
9月18日(木)181km いわき市→千葉県香取市

計 1,281km(うち八戸港→自宅1,193km)

天候や仕事の関係で途中スケジュールが変わったところもあり、最終的なルートと走行距離はこんな感じになりました。

国道は平均時速50キロ前後で走っており、市街地を除き信号もあまりないところが多かったので、走行時間はそれほど長くありません。昼過ぎには目的地に着いてしまっている日もありました。

「ルート計画」と書きながら、むしろ実際に走った道の総括のような記事になっていますが、こんな感じです。