赤瓦屋根の伝統家屋が立ち並ぶ静かな島~渡名喜島

渡名喜島

どう言い表したらいいんだろう。
滞在中ずっと不思議な感覚に包まれ続ける島で、離れた後もまだ余韻が残っている。

渡名喜島

フェリーから降り、港から海を撮影したり、去ってゆくフェリーを見送ったりしている間に、他の下船客の姿はもう消えていた。

待合所をでると、人もおらず車も走っておらず。
すごく静かな風景が広がっていた。

と、後ろから一台の車。

渡名喜島

振り返ってびっくり。
ネタフル記事でも紹介されていた電気カーがいきなり現れた。ハシゴをもっている。

●[N] 夜になるとフットライトが足元を照らす島「渡名喜島」(沖縄)

そして集落に吸い込まれるように消えていき、
また周囲には誰もいなくなった。

渡名喜島

あ、これもネタフルに写真があったっけ。
緑色の葉っぱデザインの案内表示だ。

渡名喜島

港沿いの道に面したところに村役場。
きっとこの中には人たくさんいるんだよね、と思うのだが、なぜかあたりはとっても静か。

渡名喜島

「村道1号線起点」という標識を見つけ、
その道を入ってゆくことにした。

渡名喜島

白い砂がきれいに敷き詰められた細い道。
両側に緑の葉をびっしり生やしたフクギの木が連なっていた。これはどこまでこんな風景なのだろうか。

道の両脇には、夜灯されるというフットライト。

渡名喜島

そのまま道をまっすぐ進んでいくと、左右に次々と、赤瓦屋根の沖縄の伝統家屋が登場し始めた。

渡名喜島は沖縄戦の時に米軍上陸を免れ、また観光開発もされてこなかったため、昔ながらの古い建物がそのまま数多く残ったのだという。

渡名喜島

台風対策で、塀の中は全体をかなり深めに掘って家を建てている。

沖縄本島では余り見られなくなった伝統的な赤瓦の家屋が比較的多く残っており、島の集落全体が重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。集落には赤瓦の家屋、フクギの屋敷森、石垣などを特色とする歴史的景観が良好に保持されている。これらの家屋は風よけのため塀に囲われた敷地を掘り下げて屋根を道路とほぼ同じ高さにする工夫をした「掘り下げ屋敷」と呼ばれる渡名喜島に固有の特徴を備えているが、近年ではコンクリート製家屋への建て替えや人口の減少による廃屋の増加が進んでいることから村では条例により集落の景観保存を図っている。(Wikipedia「渡名喜村」

そうか、集落全体が重要伝統的建造物群保存地区なんだ。
その認定はもっともだと思う。

こんな風景、見たことがない。
まるで映画のセットの中を歩いているようだ。

静かすぎる島の昼下がり。

港についてから本当に人とすれ違わない。
車も自転車も通っておらず、でもどっしりとした作りの家をフクギ並木越しに覗いてみると、窓は開け放されていて、奥の方でテレビの明かりが見える。

人はいるようだ。
でもあまりに静かで、時間が止まったかのような錯覚に陥る。

渡名喜島

日差しはまだ強いが、細い通りを風が吹き抜けてゆくので気持ちがいい。細い道は、縦横に碁盤の目のように広がっている。離島なんだけど、まるで宿場町か古い都のようでもある。

渡名喜島

そしてどの通りも両脇には立派なフクギの木。

渡名喜島

これは屋敷森で、それぞれの家の周りにぐるっと植えられている。台風の暴風雨から家を守る役割を担っている。

フクギの屋敷森に囲まれ、
地面にじっと身を伏せるかのように低く構えた赤瓦の家々。

渡名喜島

門柱にはシーサー。
家ごとにデザインも顔もまったく異なる一対。

渡名喜島

港でもらったガイドブックには、この集落全体の詳細地図が掲載されていた。史跡なども書き込まれている。緑の案内表示もあり、その矢印に従っててくてく歩いていけば迷うことはない。

●渡名喜島の観光ガイドサイト

渡名喜島

途中で予約していた民宿に立ち寄り、さらに東に向かって進んでいったら、なんと島の反対側の海にでてしまった。あがり浜。


大きな地図で見る

島の形はこんな感じ。
中央のちょっと上のくびれた場所が集落で、両側の海岸線に面している。

渡名喜島

港は西岸にあり、東岸は波が高くなることもあるのか、すべての村道の入り口にこんな鉄製のスライド式のシャッターが据えつけられていた。

渡名喜島

海も本当にきれい。

ウミガメが産卵のためによくやってくる島で、ダイビングスポットもあるという。

渡名喜島

滞在は一泊だけだったが、この集落の風景に魅せられてしまい、昼も夕方も夜も翌朝も、何度も歩き回ってしまった。

島好きの友人が強くおススメしてくれた理由がよくわかった。

次はもっとゆっくりと滞在し、集落以外の場所もまわってみたいと思う。