<小型バイクでツーリング>北海道一周沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>北海道一周沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>北海道一周沿岸ツーリング記

赤いクロスカブ(110㏄)に乗って残暑の関東を脱出し真夏の北海道へ!バイク歴1年半の初心者ライダー(♀45歳)が、北海道沿岸ルート約3,000キロを2週間かけてのんびり走ってきました。
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<14日目>釧路→襟裳岬~難解アイヌ地名、今回最長の400キロ超を走る

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キトウシ野営場の「キトウシ」もそうだが、この一帯はアイヌ語でかつあまり馴染みのない地名が多く、漢字を見てもなかなか読めないものが多い。

北海道の外周をまわっていると考えてしまうことがある。

▼北海道一周ツーリング<14日目>釧路→襟裳岬(10分40秒)

北海道は、縄文時代から近代にいたるまでアイヌ人が代々住み続けてきた土地だ。日本はそれを19世紀の短期間で収奪した。

今ですら陸の孤島になりがちな辺鄙な土地にも、集落ごとにアイヌ語の地名がつけられている。細い川にも小さな岬にも、山にも入り江にもすべてアイヌの長い歴史を背負った名前が付けられている。北海道はもともと未開の北の大地だったわけではなく、多くの人が集落を作り狩猟と交易によって暮らしてきた土地だ。

地名解説ボードにはそんな地名のアイヌ語の意味が書かれているが、アイヌ人を強制移住させ過酷な炭鉱に送り込み、徹底した同化政策をとった日本ではもはや、アイヌ語は「消滅に近い言語」となってしまった。言葉として話せる人はわずか数人で、今となっては地名として残るだけ。

日本人として学ばないといけない近代史のひとつだなと思う。

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少し行くと道にシカが横たわっていた。
車にはねられてしまったのだろう。

さっそくカラスが何羽も集まって、お尻をつついている。

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釧路市街地は、駅前の大通りや郊外の並木道など、整備が行き届いた都市という印象。巨大な公園もある。

せっかくなので、市街地から近い、釧路湿原南端を走る道に行くことにした。

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・・・んだけど、湿原感あまりよくわからず。
広い釧路湿原、やはり展望台なり渡り鳥の飛来地なり、何か目標を定めていかないと、ただ周りに何もない道という感じになってしまう。

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白糠町にある、なんだかファンキーな道の駅、恋問館。
恋問海岸に隣接して作られている。

このタコとイカがここのキャラクターらしく、恋人同士だというタコとイカの伝説の物語も入口に書かれていた。

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中で売られているお土産のネーミングもなかなか。
やや滑ってる感じも否めないが、お土産に買いたくなったのは確かだ。

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ポストもすごいぞ。

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再び襟裳岬に向かうまっすぐな国道に。
走っている車の量は多くはないが、とにかくみな飛ばしている!!!

そんなわけで平らな道路なんだけどゆずり車線が。
そういや茨城を走ってても安全な追い越し促進のための車線あるよな。

自分もスピードはなるべく抑えていたが、気付くとやはり出てしまっていた。

そんなわけで、この日は別にそれほど長時間走行していたわけではないんだけど、ツーリング最長距離の404キロを走った。

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そしてバイクは調子悪くなった。
エンジンブレーキをかけた時にカタカタ音がするようになった。

一気に長距離を走り、チェーンが伸びてしまっていたのが理由なのだが、北海道にきてから2500キロ以上走っており、オイル交換していないのも気になっていた。

ガソリンスタンドで尋ねるもバイクのオイル交換してくれるところはなく、音別のホクレンに立ち寄った時、近くのバイクショップを紹介してくれた。

行ってみると店の前にタイミングよく社長さん。

ただお盆休みな上、今から阿寒湖までツーリングに行くところなのだと店の前に停めてあったバイクを指さした。

「でもどうしようもない危険な状態なら見てあげるよ」

親切そうな社長さんはそう言ってくれたが、貴重な休暇とツーリング時間を犠牲にさせるほどの状態では決してない。わかりましたと店を去ろうとしたが、いかにも初心者な自分の不安顔をみてとったのだろう。

「女性だし、オイルの量と汚れ具合だけチェックしてあげるよ」

そう言って、オイルを見てくれた。
量はまだ十分あるし、汚れもそれほどではないので、交換は地元に戻ってからでも問題ないと保証してくれ、オイルのチェック方法や、いざという時の対応などいろいろ教えてくれた。

「北海道でツーリングするなら、最低限のメンテナンスとトラブル対処は自分でできるようにしておかないと」

本当に指摘通りだ。

教えてもらったこのお店のFacebookページを後日見て知ったのだが、ツーリング途中の人達が立ちよっては、メンテナンスや自転車のタイヤ交換などをしてもらっている。

●有限会社 平山モーター商会 No2(Facebookページ)

道南ツーリングする時には事前に場所やFacebookページをチェックしておくといいかもしれない。

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そこからさらに南下。
特に何か観光スポットがあるわけでもないので、海沿いツーリングを純粋に楽しむ。
・・・といっても相変わらずのこの天気なんだけどね。

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珍しくスポット案内看板があったのでダート道だけど入ってみた。

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「黄金の滝」と書かれているんだけど・・・

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一体どこに滝が?とこの時はちょっと首をかしげていた。
でも今写真を見たらわかる。

本当に黄金色じゃん!!!

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十勝川の河口にかかる橋のたもとにて。

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チーズでもなじみのある大樹町に入ると、クマ出没注意の看板を見るようになった。

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牛横断注意看板も。

ツーリングの途中、Facebookで知人の知人からこんなコメントをもらっていた。

「十勝海岸湖沼群は行ってみてほしいなぁ。湧洞沼とか生花苗沼あとオイカマナイトー)とかホロカヤントーとか。ほとんど人の手の入っていない海跡湖群です」

あと歴舟川河口もおススメしてくれた。

そのうちのひとつ、生花苗沼に立ち寄った。

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その人に感謝だ。
本当に穏やかで美しい、どこか神秘的とも言える風景。

水鳥も多く生息していて、海もすぐの場所。
風も強い日だったので、ずっと荒々しい波の音が聞こえていた。

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もっと天気のいい日に来たらまた違う景色なのだろう。
この後もう少し走って野鳥観察小屋があるところから湖畔まで散策ルートを歩いて引き返してきた。

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近くには晩成温泉がある。
泉質が非常によく、高濃度のヨウ素を含み体が温まる温泉として知られているらしい。

すぐ隣にはキャンプ場があり、こぶりなホテルもある。

元々はここのキャンプ場に泊まろうかなと考えていたのだが、天気がいまひとつなのと、少し前に訪れたバイクショップ社長さんに教えてもらった襟裳岬の元ユースというのに惹かれ、そこまで行くことにした。

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なのでここでは温泉も入らずランチのみ。

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大樹町で新たに開発されたご当地グルメ「大樹チーズサーモン丼」だ。かなり細かく規定されたメニューで、チーズとサーモンの天ぷらがメイン。

正直それほど特別美味しいとは思わなかったけど、新鮮な組み合わせではある。

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ここから先は天候に恵まれず。
ガスったかと思うと雨。雨足強くなった後もバイクにスマホをつけたまま走ってしまい、内部に浸水させてしまう悲しい事態に。

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まっすぐな道に牧草地、そして一列に並んだ防風林という十勝平野的な風景も広がっていたのだが、それも視界悪すぎてあまり楽しめず。

実は大昔、大学2年生の時のサークルの合宿が十勝平野だった。確か帯広から出発しゴールは広尾町の海岸。そこまでを一週間、キャンプしながら歩き続けた。

その時歩いた道を思い出して走ってみたかったのだが、残念。

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大樹町を過ぎると、覆道やトンネルも増えてきた。

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突如、路肩にたくさんのワゴン車が停まっている場所があり何かと思い私も海を覗いてみると、荒れた海の波間を漂う無数のサーファー。

サーファーってすごい・・・

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黄金道路とも呼ばれるこの道は比較的新しい道路のようで、隣に既に使われていない旧トンネルの入り口が残る場所もあった。

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新しいトンネルの海側に覆道もあって、どちらも通行できるところもある。

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トンネル内は広くて明るいのだが、ヘルメットについた雨水が反射してちょっと視界不良。雨の日はいろいろ大変だなあと。

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そんな険しい地形も抜け、襟裳岬のちょっと手前は広く見通しのいい道になった。百人浜というビーチがありオートキャンプ場もある。広さゆえ「百人」なのかと思ったのだが、今調べたら全然違った。

「文化 13 (1816) 年,盛岡藩の御用船が遭難し,乗組員 100人が犠牲になったため,この地名が生れたといわれる」(百人浜(ひゃくにんはま)とは - コトバンク

えええっ!!!死者の数なんだ・・・
他説もあるけど、どれも処刑された数など死にまつわる数字。

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そして遂に到着した襟裳岬。
噂通り風は強い。

・・・と思ったけど、別に普通に立って普通に歩いていられる風だったのでこんなの強風のうちに入らないんだと思い知らされたのは翌日のこと。

この写真を撮影時には、襟裳岬の怖さなんてほんの僅かも理解できていなかった。

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襟裳岬から北西方向の海岸線を眺める。
この写真の右端に見える道。
そこが翌日、強風に耐えきれず流されてガードレールに激突した場所だ。

ガードレールって大事なんだなと、この写真を見ると改めて思う。

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襟裳岬。

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最先端までは長い遊歩道になっている。

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突端で記念写真。
待てども待てども、なかなか他の観光客がやってこないので、このままだと風に飛ばされてしまうと思い、タイマーで自撮りした。

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岬周辺には数多くのゼニガタアザラシが住み着いている。
肉眼では見つけられなかったのだが・・・

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その後再び駐車場まで戻り、「風の館」の自然観察スペースで望遠鏡をのぞいたらたくさん見ることができた。

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望遠鏡越しに撮影。
岩の上でごろごろしているのがアザラシだ。

この写真では切れてしまっているが、近くの海面にはぷかぷか浮かぶラッコの姿も見えた。

風の館のスタッフが望遠鏡をセットしてくれ、解説もしてくれる。

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強風コーナーもある。

風速10メートルから24メートルまでの風で、どのくらい身体に負荷がかかるのかを実際に体験できるのだが。

24メートルは正面から受けると、かなりの力で押される。

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襟裳岬からすぐの場所にある元ユースホステルだった「民宿仙庭」がこの日の宿。
屋根には消された「えりもユースホステル」の文字。

歴史を感じさせる建物だ。

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山荘のような内部。
これまで宿泊した人たちの写真や手紙などが張ってある。

昭和ユースホステル全盛期の写真なども。

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部屋もぐるり木の壁で味わいある。
実は個室で予約していたつもりだったのだが(というか民宿という名前だったので、すべてが個室だと思ってしまっていた)、実はもうひとり50㏄原付バイクで旅行している京都の女性との相部屋だった。

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洋室だとこんな感じ。

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食事は宿泊者全員で一緒に。
この日はジンギスカン。

お盆ピークも今日が最後ということで、「おかあさん」こと民宿オーナーさんから全員に金麦が一本ずつ振舞われた。

「ご飯とカニはそっちのテーブルにあるから自分でやってね」

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そう言われ背後のテーブルを振り返ってびっくり。
花咲ガニが山盛りになっていた。

「カニがセルフかよ!」

と別の宿泊者。
いやほんとまったく。

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このニジマスは、釣りをしながら長期滞在している男性がその日に釣ったニジマスだそう。皆に振舞われたが、脂たっぷりで美味しかった!

元ユースホステルだったこの宿には、その時代のお客さんもリピーターとして訪れているという。自分が訪れた時の宿泊客の中にも常連客や、以前ユース時代にヘルパーとして働いていたという女性も来ていた。

ただそれも実は来シーズンまで。
建物の老朽化もあり、売ってしまうことを決めており、営業は再来年2017年5月末までだという。

建物至る所にユースホステル時代の面影が残るレトロな宿。
礼文島の桃岩荘もそうだが、ぜひ一度訪れておくべき場所だろう。

●民宿仙庭公式サイト(北海道襟裳岬・美味しいお食事提供格安宿泊)

▼北海道一周ツーリング<14日目>釧路→襟裳岬(10分40秒)