<12日目>知床半島・羅臼→厚岸~納沙布岬で生サンマ丼、北太平洋シーサイドライン
朝出発しようとしてバイクに近づいてびっくり。
なんとなんと、隣に停まっていたのは自分と同じクロスカブの黄色バージョンだったからだ。
前日宿で食事をしている時、隣のテーブルから「カブ」という言葉は聞こえた。その時からとても気になっていたのだが、まさか仲間だったとは。
▼北海道一周ツーリング<12日目>知床半島・羅臼→厚岸(13分08秒)
ちなみに自分の以外のクロスカブを見たのはこれが初めて。
そんなわけで感動大だ。
しかも共通点がもうひとつあった。
日本一周を目指し、大阪を出発しずっと沿岸を走っているのだという。
「クロスカブ」と「沿岸ツーリング」、この2つには何かつながりがあるのだろうか。
釣りをしながら走っているそうで、釣竿を立てるための場所なども作り、前かごに60Lのリアボックスと積載量もかなり増やしていた。
羅臼市街地のメインストリート沿いには、「北の国から2002~遺言~」に登場する「純の番屋」がある。実際には相泊地区のさらに先にあるそうなんだけど、ここはそれを再現した建物で、食堂として使われている。映画にちなんだメニューもあるとのこと。
羅臼から南西方向に伸びる国道335号線(国後国道)には、いくつものスノーシェルターがあった。相当積もるのだろうか。
冬はこの道が通行止めになると羅臼は陸の孤島になってしまう。
ちなみにこの日の朝の羅臼の気温は15度(8月15日です)。
日中も20度を越さないという涼しい・・・いやかなり寒い日だった。
長袖シャツに長袖ジャケットも着ていたがとても耐えられず、上下ゴアテックスのレインスーツを着込んだ。
さらにこの後、「まさか着ないとは思うけど」と持参したユニクロのウルトラライトダウンも着込む羽目に。
地図で見てとても興味を持っていた「野付半島」も走った。
潮流の関係で堆積した土によってできた細長い、ススキの穂のような不思議な形をした半島で、右も左も海という細長いところに道が走っている。
立ち枯れして白くなったミズナラが立ち並ぶ「ナラワラ」。
途中で、前の晩にライダーハウスで一緒だった男性と再会し、一緒に走ることに。
そして一般の立ち入りが可能な最後の場所までやってきた。
ここだ。
そこから少し戻ると、野付半島ネイチャーセンターがある。
この建物から遊歩道が伸びており、馬車に乗って自然観察できるプログラムもある。
またこの場所、ゴマフアザラシも生息しているそうで、肉眼では見つからなかったが、夏の間毎日開催されているショートクルージングに参加すると、浅瀬でゴロゴロするゴマフアザラシがかなり高い確率で見れるとのこと。
その後、ライダーハウスで一緒だった人とは別れ(スピードも全然違うので)、ふたたびひとりで根室方面に向かって走った。
途中の道の駅で見たポスターで初めて知ったのだが、シカ衝突事故が最も多いのは根室から釧路のかけての国道44号。
てっきり知床半島が最も危険な場所かと思っていたのだが、本当にデンジャラスなエリアはこれからだった。
広い牧草地に放牧されている牛たち。
こんなのどかな風景も北海道だけ。他は牛舎に閉じ込められたままが大半なので。
そして根室が近付いてくると、道路には「シカ注意」のペイント。ひっきりなしにこれが登場するので、昼間とはいえちょっと緊張する。
根室半島の付け根にある、白鳥が飛来するという風蓮湖。
湖畔と国道44号線の間には、かなり大きな道の駅ができており、建物内から渡り鳥を観察できるようになっていた。
ずっと天気が悪かったのだが、根室半島を走っている途中で雨が降り始めた。国道上の電子掲示板には「雷雨注意」も出ていたが、そこまではひどくならなかった。
しかし寒いしヘルメットもびしょびしょに。
やはり撥水スプレー持ってくるべきだった。
やっとたどり着いた納沙布岬。
本土最東端だ。
もちろんこのガス立ち込めた中、国後島が見えないどころか海すら見えなかった。
ここでのお目当ては鈴木食堂。
生サンマ丼は、ちょうどこの日入荷した生のサンマで。
前日までは冷凍サンマだったそうなのでラッキーだ。今年初めて食べる旬の味。
まだ時期早いにも関わらず、脂たっぷりのって味も濃厚。寒い雨の中ずっと走ってきてガチガチに凍っていた体も一気に溶ける美味しさだった。
その後、根室市内へ。
有人駅としては本土最東端の根室駅。
そして花咲灯台へ。
花咲ガニが水揚げされる花咲港のすぐ近くにある。
火曜サスペンスのラストシーンを思わせる寒々とした風景。
いや実際すごく寒かったんだけど。
こんな場所で強風に髪をあおられながら、真犯人あるいは刑事役が長いトークをぶちまけるんだよね。
波も荒い。
直径6メートルの車石。
なぜこんな放射状に形成されたのか気になる方はWikipediaページを見てほしい。
比較的大きな漁船がびっしり停泊する港。
ライトをたくさんつけた漁船はサンマ漁船だろうか。
花咲港はさんま水揚げ量も多く、お盆のちょっと前に初水揚げとなる。
根室から釧路までの海沿いを走る道道142号線・道道123号線が「北太平洋シーサードライン」と呼ばれる。ドライブコースとしても非常に人気の場所で、確かに絶景。
ああ・・・これで天気さえよければ!
これだけ北海道に観光客が訪れている時期だが、他の車やバイクとはほとんどあわず、貸し切り状態。北海道はそれだけ広いということなのだろう。
シカ注意標識は相変わらずたくさん。
このシルエットは、躍動感もありどこかなまめかしさもあり秀逸だと思う。
なんて思っていた矢先に飛び出してくるシカ。
距離があったので全く問題はないが、その後にも2頭のシカがさらに飛び出して横切っていった。
スピード緩めなければ数秒で到達してしまう距離なので、やはり暗かったら危ないなと思った。
暗くなる前に予約してある厚岸の旅館に着かねば!というプレッシャーはあれど、ここは立ち寄らざるを得ない。霧多布岬だ。もともと宿泊を検討していたキャンプ場もある。人気の場所らしく結構な人がいた。
北太平洋シーサイドラインを見渡せる貴重なロケーションだ。
岬の先端にある灯台にも行ってきた。
今日の目的地は、ここから見える弧をずっと先端までいったさらにその先だ。
日没時間まではまだ2時間あるものの、これだけ曇り空で山がちな場所だと、実際にはもっと早く暗くなってしまう可能性もある。
ここから先は頑張って走らなくては。
街灯ひとつないガードレールもない北海道の山道。クロスカブの脆弱なヘッドライトだけで道幅やカーブを把握して走るなんて芸当、初心者で夜走った経験がほとんどない自分には到底無理だ。
無情にもどんどん暗くなってゆく道。
しかも夕暮れ時は「シカ飛び出し注意」の危険な時間帯だ。
シカ飛び出しも怖いが、真っ暗闇を走るのはもっと怖い。
スピードもあまり緩めず走り続けた。
そして遂に市街地に!
やった!これでもう安心だ!!!
・・・と思った矢先、こんな民家だらけのところで、目の前を立派な角を持つシカが横切った。あまりに驚いて悲鳴あげてしまった。
ココロ汗だくでやっと厚岸市街地の旅館に到着。
いやー、ちょっと無理しすぎた。やっぱり根室市内で宿とるべきだった。
旅館の窓を開けると、隣接する広場で盆踊り大会。
かなり遅い時間まで賑やかな音色が流れていた。
この旅館の口コミで非常に評価高かったのは、厚岸特産の「牡蠣」をたっぷり食べられるという点。
夕食・朝食込で6,380円という料金なのだが、焼き牡蠣にカキフライまで。
避暑と釣りのため、毎年夏は数週間北海道に滞在するという千葉から来ていた年配男性の食卓を見たら生ガキだったので、牡蠣料理は日替わりでいろいろ用意されるようだ。
カキフライもかなりの大粒だったが・・・
焼き牡蠣も見事!!!
これは翌朝撮影した鈴木旅館の外観写真。
スタッフの方々も皆感じよく、久しぶりの個室泊でぐっすり寝ることができた。
▼北海道一周ツーリング<12日目>知床半島・羅臼→厚岸(13分08秒)