【23日目】これで沿岸走って日本一周達成!八戸港フェリーターミナルでゴール!
日本海沿岸ツーリング23日目。
いつかこの日がやってくるのはわかっていたけど、遂に最終日。
2014年9月8日に八戸港を出発してスタートさせた「日本一周沿岸ツーリング」も同時に終わる。数日前からそのことを考えると、なんだか不思議なさみしさに襲われた。
この写真は、5年前に八戸をスタートする前夜、経由地の苫小牧まで見送りで来てくれた友人夫妻が撮ってくれた一枚だ。買ってまだ半年のクロスカブはピカピカで傷ひとつない。私はまだ小型バイクをもてあましていて、ポーズをとっているけどどこかぎこちなさがある。
そしてまだこの時は知らなかった。
沿岸ツーリングはこの時の1,281kmでは終わらず、その後6年間、のべ107日間、16,045キロもの距離を走り日本一周を果たすことになることを。
最後の夜は、宿で過去の沿岸ツーリング記録をぱらぱらと読んでいた。
上の写真は2017年に東海道を走った時のものだ。
日本一周沿岸ツーリングのチャレンジが終わっちゃったら自分、来年から何を一年のマイビッグイベントに設定して日々を送ればいいんだろう。沿岸ツーリングロスになりそうだ。
・・・なんて、メランコリックはここまでにして。
最終日ということで、今回ずっと携帯していた食材。6回の沿岸ツーリングで試行錯誤した結果、「保温ポット」「袋入りインスタントコーヒー」「プラ容器入りのミニオリーブ油」「袋入りの塩」をツーリングのおともにした。
今回キャンプが多かったので、朝お湯を沸かして珈琲を飲んだ。そして保温ポットに少し濃いめのコーヒーを作って入れておけば、ツーリング中の眠気覚ましにもなる。今回は幸い夜しっかり眠ることができ、途中で睡魔に教われたのは一回くらいだった。
オリーブオイルと塩は、スーパーやコンビニで買った生野菜サラダにかけていただいたり、フランスパンにつけて食べたりした。
夏は汗もかなりかき、塩分不足にもなるのでちょうどいい。ドレッシングは日持ちしないし、毎回ツナ缶を買ってサラダにトッピングするのもちょっとカロリー摂取過多になってしまうので。
泊まった宿は「三沢市民の森」の温泉に付属する宿泊施設。なかなか年季が入った建物だったが、温泉もよかったしスタッフもとても感じがよかった。
建物はこんな感じ。
ちなみに・・・
今回の沿岸ツーリングでは初めてだと思うのだが、一日雨。スタート直後の山口県で通り雨に降られたことはあるが、それ以外はずっと晴天続きだった。
昨日のうちに頑張って三沢まで来ておいて本当によかった。
雨の中、下北半島のあの寂しい道をずっと走り続けるのは辛かったと思うので。
やってきたのは、航空自衛隊三沢基地のすぐ隣にある青森県立三沢航空科学館。
かなり立派な建物で驚いた。
三沢・淋代海岸から離陸し、太平洋無着陸横断飛行に成功したミス・ビードル号の復元機。海岸に離陸のための滑走路を作る作業を地元の人達が手伝ったり、出発に際してはりんごをプレゼントしたなんていう話も。
航空力学を、実際にいろいろ体験しながら学べるコーナーもあり、子供たちに人気だった。これはヘリコプター体験できるもの。ヘリコプターがどうやって姿勢を制御するかが、実際に操作しながらわかる。
シリンダーの中のカプセルに座り、空気の力で浮上させるというもの。浮遊感と落下感を体験できる。
他にも面白い実験・体験コーナーがたくさん。
ここ、子供連れてきたら、きっと新しい興味がたくさん湧いてくると思う。もちろん大人でも面白い。
十和田湖から引き上げられた「一式双発高等練習機」。69年前に沈んだ戦闘機で、日本国内に現存する唯一の機体だそう。
そして再び雨の中。
やってきたのは米軍基地のゲートからすぐの場所にあるスカイプラザ三沢。このあたりは、軍服姿の外国人が普通にランチタイムで街中をぷらぷらしていたりして、なんとも不思議な空間だ。
そしてお店も米軍関係者がよくくるのだろう。かなり日本離れしている。
食料品店の品ぞろえも全体的にビッグサイズ。
そしてブランチにホットドッグ。
三沢から八戸まではすぐで、あっという間についてしまった。
といっても、予約しているフェリーは夜なので時間はたっぷりある。
まずは海鮮市場「八食センター」に。
新鮮な魚介類がずらり並んでいて、観光客もたくさん。
ま、まんぼうも!!!
そういや気仙沼で食べたことあったっけ。これも販売してるのかしらん。
この八食センターが観光客に人気なのは、これがあるから。市場内で買った魚や貝、エビなどを、市場内でBBQにして食べられるのだ。
その会場がここ。
大人は一人350円払えば、炭火焼テーブルを利用できる。
私は貝を中心に単品でこれだけ買ってみた。
大粒のカキは生でもいただけるものだ。
あああ、ビール飲めないことがなんとも辛い・・・
八戸市博物館にも足を伸ばした。
市営博物館ということなので、それほど期待もせず訪れたのだが、実際にはかなり洗練された展示。
訪問者もおらず貸切状態だったが、随所に創意工夫を感じられるいい博物館だった。
面白かったのはここ。
昔の八戸市の風景などの写真がいくつも用意されており、緑色の布が貼り付けられた壁の前に立って写真を撮ると、昔の風景の中に自分が写り込んだ写真が合成できるというもの。
できた写真はプリントして記念に持ち帰ることができる。
自然に溶け込んでいてびっくりだ。
2014年9月、八戸港に降り立って走り始めた直後に通った八戸大橋。
早朝だったので車もほとんど走っておらず、太陽が昇り始めていて、橋の中央部分の一番高いところを越えた後、目の前に広がる風景にめちゃくちゃ感動したのを今でも覚えている。
その時のレポートにはこう書かれている。
八戸は海沿いが大きな工業地帯になっていて、東京湾岸のように海沿いには巨大な陸橋がある。その最上部では目の前に工業地帯と港が広がる風景が飛び込んできてゾクゾクする。(WADA-blog「ヘルメットにGoPROつけ、八戸港から岩手県・普代村の黒崎灯台まで」より)
まだバイク乗り始めて半年だったあの頃。
バイクから見る風景がすべて、ドキドキワクワクだった。
そのまま同じく、一連の沿岸ツーリングの一番最初の日に安全祈願に立ち寄った蕪嶋神社に。
2015年11月に火災で焼失してしまったが、再建工事も終盤となり、2019年12月には完成予定とのこと。
●蕪嶋神社再建工事に係る立入制限について | 八戸市観光情報サイト
そして。
遂に到着しました。
ゴール地点、八戸港。
クロスカブと一緒にぐるり日本一周してきた。
すごく長かったような気もするし、一瞬だったような気もする。
私がバイクから見たほぼすべての沿岸風景は、ヘルメットにつけたアクションカメラGoPROでコマ撮りした写真の中に切り取られて残っている。
記憶は次第に脳の奥底に沈んで溶けてしまうけど、それらの写真を見れば思い出は次から次へと蘇ってくる。身体が焦げそうになるほどの太陽の光も、木々の合間に見え隠れする海の色も、漁港の香りも。全部クロスカブと一緒に体験した。
もし今、バイク免許をとるかどうか悩んでいる7年前の自分と対面したとしたら、こんな写真を見せて教えてあげたい。
赤い小型バイクを買ったあなたは、これまでの人生で訪れたことのない場所をたくさん訪れ、見たことのない風景や人達と出会いまくるのだと。
八戸で日本一周沿岸ツーリングをコンプリートし、大きな達成感に包まれるのだと。
そして雨上がりの駐車場でひとり涙目になって思うのだと。
クロスカブと出会えてよかった!
ここからはフェリー。
一度苫小牧まで渡り、そこから乗換えて大洗という、初回の逆ルートだ。
思い出すのはやはり初々しかった自分。
フェリーに乗るのもおっかなびっくりなら、自分の前後にいる大型バイクの男性たちすらちょっと怖く感じていたっけ。
今はフェリー乗り込みなんて何も心配ないし、気が向けば近くのバイク乗りの人に話しかけて情報収集なんかも。たくましくなった。
寝床も快適。
フェリーの中でやることと言えば、写真の取り込みと整理。
東京からのフェリーも含めると25日間の暑かった日々を思い出しながら、缶ビールでひとり乾杯。