<小型バイクでツーリング>日本海沿岸ツーリング

<小型バイクでツーリング>日本海沿岸ツーリング

<小型バイクでツーリング>日本海沿岸ツーリング

沿岸ツーリングもこれがラストステージ!小型バイク「クロスカブ」に乗って山口県下関市を出発し、日本海側の沿岸を東進北上し青森県八戸市まで23日間で3,714キロを走りました。
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【22日目】下北半島の先端で大間のマグロをいただく

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脇野沢ユースホステルは、今回の沿岸ツーリングの中で4回目に泊まったユースホステルだ。昭和のユースホステル全盛期からの宿で、街中を一歩出れば下北半島の大自然。自転車でぐるり半島一周する若い人などでにぎわったそう。

オーナーさんに他の部屋も案内してもらった。上の写真は和室の部屋。

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ここは私が泊まったのと同様、ベッドが4台で奥に2畳のあがりがある部屋だが、奥のベッドの上には棚がある。以前はそこもベッドで1部屋6人が泊まれるようになっていたそう。

今はそんなに混み合うこともないので、下のベッドの人の荷物を置く場所にしているとのこと。自転車で旅しているグループもよく来るそうで、その荷物置きとして重宝されているのだとか。

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こんな細長い部屋もあった。
どの部屋も、座ってくつろげる畳スペースがあるのがうれしい。

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山小屋のような大きな三角屋根に特長がある建物とオーナーさん。
古き良き時代の昭和のユースホステルの暖かさを感じられる宿だった。

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この先の道のことなども詳しく教えてもらった。
四国や九州、そして東北の太平洋側に比べると比較的「海沿いの平坦な道をまっすぐ」走ることが多かった日本海側。ただし下北半島の外周をまわる今日は例外だ。かなりの山道となりそう。

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昨日、反対側から見た鯛島。
反対側から見るとくじらに見えるとのことだったけど確かに!

灯台が建っている場所も絶妙だ。

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そして海沿いの道を下北半島最西端に向かって走る。
津軽半島側からも対岸によく見えていた場所だ。

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至る所、白い崖が剥き出しになっていてかなり険しい地形に感じたが、実際切り立った崖が多い。

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そして北海岬の手前で道は行き止まり。
ここからは再び脇野沢まで戻って、国道338号を北上するしかないだろう。

・・・と、出発前には思っていたのだが、脇野沢ユースホステルのオーナーに教えてもらったのが、北海岬から林道を抜けて国道の道の駅わきのさわ少し手前に出るというルート。

これはGoogleマップでも見えていなかったし、気付いていたとしても実際に通ったことある人の話を聞かなければ突っ込む勇気はなかったろう。

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そして両側から草が侵食してきてはいたものの、非常にきれいな舗装道路で驚いた。もうひとつ驚いたこと。

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猿がいっぱい!!!

道路の上で毛づくろいをする親子がいたと思えば、カーブのすぐ先ではメイクラブの真っ最中のカップルなどなど。

思わず急ブレーキをかけるシーンもあった。

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途中からはダート道。
といっても、平らで走りやすい。あの突端の小さな集落の人達が大間方面に行く時に通るだけだと思うのだが、それにしてはそこそこ車も走っているようだ。

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こんな感じの走りやすくて気持ちいい林道をずっと走るのもいいなあ。

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そして国道に出た。

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ここからはツーリングマップルに寄れば「ワインディングの山岳ハイウェイ」。脇野沢ユースホステルのオーナーさんによれば、道は非常にきれいで整備されており、道幅も十分にあってかつ交通量が非常に少ないので快適に走れるだろうとのこと。

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実際そうだった。
カーブもアップダウンも多いが、道自体は非常にいい。

集落も限られ交通量も少ない下北半島の先っぽということで、実をいうともっと難易度の高いルートを想像してしまっていたのだがとんでもない。

崖崩れなどは多いようで、何か所かで修復工事が行われ片側一車線通行になっている箇所もあったが、路面も本当にきれいに整備されていた。

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眺めも最高だ。
気温もツーリングにちょうどいい頃合い。

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そして辿り着いたのが、下北半島でも屈指の景勝地「仏ヶ浦」。
後で調べたら、少し離れた場所からでている遊覧船で訪れるのが吉だったのかも。

というのも、駐車場にバイクを停め、この「熊出没注意!!」と書かれた看板脇の道を入ってから・・・

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こんな道を延々と歩き・・・

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さらに階段を延々と降りる羽目になったので。

下りはいいけど、これ上りはきついよ!!!

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そしてやっと海岸線に降りてきたら、小さな遊覧船が次々と桟橋に離発着。ご夫婦できていた年配の観光客の方に「え、上から降りてきたの?」と驚かれながら、写真を撮ってもらった。

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ここはいわゆる「奇岩」の景勝地。
白い岩が、自然の力で様々な造形物となっている。

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そして美しいグリーン色の海。

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●名勝 仏ヶ浦 | 佐井村 -Sai village-

所在地は佐井村というところで、公式サイト内に空撮映像が掲載されている。写真だとなかなかこの迫力が伝わりにくいと思うので、興味ある方はぜひ動画で見て欲しい。

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ちなみに上りは汗だく。
駐車場すぐの場所から遊覧船に乗れるコースを心からおススメする。海の上からも観れて一石二鳥だと思うので。

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再び国道を北上。

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展望台のようなところがあり、仏ヶ浦の海岸線を見下ろすことができる。

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脇野沢から大間をつなぐ国道は、ほとんどが山の中を走っているのだが、何か所かある小さな漁港とその周辺の集落がある場所では海沿いまで下ってくる。

冬は一体どんな景色になるのだろう。

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最後は海沿いの道を走り、まぐろ一本釣り漁港の町として全国にその名をとどろかせる大へ。

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・・・とその前に。
下北半島出身で、クラフトビールのサイトを運営する友人から教えてもらった、ワイナリーであり、最近は地ビールも作っているというお寺に立ち寄ってみた。

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お寺でワイン?とちょっと不思議だが、確かに考えてみれば、ヨーロッパでは修道院で作られるワインが人気だ。

果汁は輸入物だが、自社栽培の山ぶどうもブレンドしているそう。卍マークがなんとも新鮮。

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直売所があり、地ビールは自動販売機でも売られている。

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選んだのはビターのもの。

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ラベルデザイン、ちょっとギラギラしすぎな気がするし、黒字の上にいくつもの色の文字を白縁で入れてしまうのも素人くささがあって少々落ち着かない(配置も中途半端な気が)。
プロのコンサルかデザイナー入れてデザインし直したら、もっと「お寺の地ビール」的プレミアム感がでるんじゃないかなあと思った。せっかくユニークな醸造所なのにちょっともったいない気もする。

津軽海峡フェリー。
函館から青森・大間をつなぐ航路だ。

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比較的小さな船が数多く停泊する大間漁港。
毎年お正月の特番として放送される「マグロに賭けた男たち」は、個人的にも好きで何度か見ている。

最初にその番組のことを知ったのは、沖縄の離島を訪れた時の宴会でだ。なぜか離島であの番組が大人気だそうで、お正月明けには「大間の山本さん」の話で盛り上がるのだという。

漁業に携わる人たちとして、また同じ海でもかなり環境の異なる北の海ということで興味をそそるのだろうか。

●マグロに賭けた男たち - Wikipedia

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大間崎。
本州最北端の岬でもある。

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観光客も多く、周辺はお土産屋さんだらけ。
しかし、ここに辿り着くまで車はほとんど見かけていない。

太平洋側から来る観光客が多いのか、それとも海から来ているのか。不思議だ。

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大きな水だこの足が、洗濯もの干しで吊るされていた。
一本買って食べたが、思ったよりやわらかく、味もしっかり。美味しい。

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お店いろいろあって悩んだが、人気のお店ということで多少の行列もできていた「大間んぞく」にした。

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旗が飾られ、壁には大間のマグロのシールがいっぱい貼られた店内。

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マグロ丼・刺身定食はほとんどが3,000円台。
観光客価格なんだろうなというのと、実は刺身はそんなにたくさん食べても飽きてしまう気がしたので・・・

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マグロの唐揚げ定食に。
この選択はよかった。ほくほくのマグロはジューシーで、サクサクの衣ともマッチして美味しい。値段もそれほど高くなく大満足だ。

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お腹がいっぱいになったところで出発。
ちなみに残すところあと2日だというのに、朝からとっても困ったことが起きていた。

ナビとしてなくてはならないスマホが、USBケーブルで充電できなくなっていたのだ。差し込むとしばらくは充電するのだが、気付くと接続が外れて充電が停まっている。

時折停車しながら充電するなど、だましだましここまで来たが、大間から先は道も確認しながら走らなくてはいけないのだが、ツーリングマップル今回は紙本ではなくKindle版だ。

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大間のコンビニでUSBケーブルを買ったがダメで、どうも問題はケーブルではなくスマホ本体の充電コネクタ―部分なことも判明。

落ち着かない気持ちを抱えつつ、とりあえず海沿いを走っていった。

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少し大きな町に辿り着いたので駅に行ってみた。
駅前の案内板でざっくり地図を確認。

観光パンフレットなどあれば欲しかったのだが、そういうものもなく。

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次に目指すは、下北半島の東側の先端・尻屋埼だ。

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何もない場所なのかなあと思っていたが、よくよく考えてみたらここは「東通村」。幹線道路からすぐ見える場所にはないが、実は原発関連施設が点在している。

走っているバスなども、その原発施設を受け入れた自治体への補助金によって調達・運営されているものなどのようだ。

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突然現れる工業地帯。

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三菱マテリアルの青森工場だ。
セメントを作っているのだという。

●三菱マテリアル(株)青森工場(PDF)

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そして非常に悲しいことが。
尻屋埼灯台への道が、時間制限でちょうどロックアウトされている瞬間だった。

スマホ充電がうまくいかず、コンビニ前で過ごしてしまった無駄に時間がなければギリギリ間に合ったのに・・・

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残念すぎる。

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スマホバッテリーが十分にあれば、ツーリングマップルで「ゲートあり夜間封鎖」にも気付き、何時に閉められるのかもネットで検索したことだろう。

スマホに頼りすぎている弱さが露呈した。

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寒立馬。
冬の寒さに耐えて生き抜く馬だそう。

もっと暖かいところでのんびり暮らしたいだろうに。

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尻屋埼から、細長く突き出した半島状態の場所を横切って南下する途中に出会った古い小学校の校舎。

一面の草むらはかつて校庭だった場所だろうか。
建物は右半分、屋根も壊れてしまっており、おそらく中は水浸しで傷んでいるのだろう。

もうこんな古い建物がそのままの形で残っているところも少なく貴重だが、集落に住んでいる人も非常に少ないのだろう。

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避難場所という看板があったので、公民館や地区センターとして残してあるのかもしれない。

「袰部」が読めなかったが、今調べたら「ほろべ」。

●下北(東通村とか)の廃校を行く。(前編) : 後藤健太郎のブログ

このブログによると、明治41年に設立されたとのこと。
そしてWikipediaによると、廃校になったのは1989年。今から30年前だ。

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木の切り株がたくさん残る広い原っぱ。
林業というわけではなさそうなので、ここに何か大規模な施設でも作るのだろうか。

東通村は、ただ走っているだけでもいろいろ新鮮というか驚かされるというか不思議な風景がたくさんあった。

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そして下北半島の首部分を南下。
地図で見ると、海近くは沼地が多いようで、おそらくそのせいだと思うのだが、道はかなり海から内陸に入ったところに作られており、林の中だ。

何が不安ってこの道、一切の照明がないこと。
そして夜間に道幅を示してくれる反射板も設置されていない。

完全に暗くなる前に、早く下北半島のこの無人地帯を脱出しなくては・・・!

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・・・と思ったら突如現れた円筒形の建物とポップな看板。
原子力発電所PR館とのこと。

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そしてたどり着いたファミリーマート。
ずっと走りっぱなしでかなり疲労も溜まっていたので、ここでファミチキを食べてちょっと休憩。

やっとこれで街中に出てきたのかと安心したものの・・・

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すこし走るとまた、両側にただ林が広がるだけの無人地帯に。

下北半島の付け根あたりの太平洋側は、大きな沼が点在する沼地。六ケ所村も小さな集落はいくつかあったものの、そのほとんどは何もない場所だった。

夜はちょい怖い。

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そして完全に暗闇の中、ヘッドライトだけで走る状態になったのだが・・・

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かなり遠くのほうに明かりが。
あれは八戸だろうか。それともその手前の三沢だろうか。

おそらくこれは、三沢基地の空港のあかりだったんだろうと思う。私が予約をした宿も、三沢基地からすぐの場所だった。

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尻屋埼から三沢までのこのルート。
いつもならスマホで地図確認しながら、音楽も聴きながら走っているのに、スマホ充電トラブルでそれもままならず、暗い林の中の道で不安いっぱいになりながら走った約2時間。

ほんとしんどかった。
下北半島で難所は大間に行くまでかと思っていたけど、むしろ太平洋側だった。

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最終日の宿は、三沢市市民の森温泉浴場の宿泊施設。
当日夕方、急に電話で予約したにもかかわらず、歓迎黒板に名前まで入れて迎えてくれるのはうれしい。

スタッフも本当に感じよかった。

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しかも部屋はこんな立派!
疲れ切った身体を温泉でほぐした後は・・・

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ビールで乾杯。
大間のお寺ワイナリーで買ってきたものだ。

途中コンビニも見つけられなかったので、温泉の売店で買ったミックス焼ドーナツという名のクッキーをおつまみに。

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そういえば、バッテリー切れで途中までになってしまったが、ランニングの時に使っていたアプリで高低差を計測していた。

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区間は脇野沢から大間のちょっと手前まで。
高いところでは500mもあった。

そしていよいよ残すところわずか。
明日はゴールの八戸だ!