【6日目】伊豆半島南部&西岸~石廊崎遊覧船に波勝崎の猿、山と海がせめぎ合うくねくねロードに絶景スポット
千人風呂がある金谷旅館は、下田から少し内陸部に入ったところにある。宿をでて再び下田港のあたりまで戻り、そこからすぐ南へ下っていく予定だった。
下田はこれが3回目。日本史に登場する地名はよく知っていたが、割と地味な漁港の街といった印象だった。
下田港にあるペリー上陸の碑。
大きな入り江になっている、いわゆる天然の良港という地形だ。
数か月前、東海汽船が主催するバイクツアーに参加するため、ここまでやはりクロスカブで走ってきたことがある。その時に乗った船がこれ。伊豆大島までの定期船で、新しいピカピカの船だ。
下田観光はこのくらいで南に向かおうかと思ったところ、下田開国博物館なる建物を発見。
郷土資料館的なものかな?と思い入ってみた。
入場料が1200円と、予想外に高かったので一瞬躊躇したのだが、入ってよかった。
ココの展示、ものすごい面白い!!!
1853年にペリーがやってきたのは浦賀沖。
その後日米和親条約が締結され開港されたのが下田港。そしてハリスが領事として滞在したのも下田。
明治時代の外国人居留地というと横浜が思い浮かぶが、それより先に「異国人でいっぱいの街」になったのが、ここ開港の街・下田なのだ。
そんな下田で撮影された当時の写真やイラスト、関連アイテムなどがびっしり展示されている。決して派手ではないが、手書きの図などもあり非常に興味深い資料ばかり。
少し前までNHK大河ドラマになっていた松下村塾の吉田松陰が密航を試みて黒船に乗り込もうとしたのも下田だ。
その場所、弁天島に「踏海の朝」という像がある。
吉田松陰と弟子の金子重輔が、沖合の黒船船団を指さしている。
下田はもう一度きて、じっくり観光したら面白そうだ。
そして南下している途中、またしても雨が降り始めてしまい、急きょコメリの駐車場に逃げ込みレインスーツを着込む。
それもすぐにやんで、再びの青空。
伊豆半島は、大部分で海ギリギリの道を走れるので、沿岸ツーリング実施中の自分には非常にうれしいところ。
伊豆半島の南端にある石廊崎。
遊覧船乗り場に着いたら、「あと5分で出港」という絶妙のタイミングだった。
船が可愛い♪
触ったら崩れ落ちそうなもろさにも見える岩。
穴もたくさん開いていて、不思議な模様になっている。
そして深い青緑色の海も美しい。
岩場を抜け外海にでると、風も波もかなりあった。
岩場の上にたつ石廊崎灯台。
そして再び、海の中から岩がにょきにょきとそそり立つ場所に入ってきた。
船内では女性の声で自動ガイドが流れているのだが、こう説明する。
「ここが伊豆半島の秘境ともいわれるヒリゾ浜です」
ほー。
・・・って、人多すぎ(笑)!!!
秘境感ぜんぜんないってば。
ビーチだけでなく、海の中にもシュノーケリング中の人が大量にぷかぷか。ものすごい人だ。
船から海の中を覗いてみると、驚くほどの透明度だった。そりゃシュノーケリングのメッカになるわけだなあと。それにしても凄い人!
ツーリングまっぷるで紹介されていた、お休み処見須。
小さな店だが、中でところてんなどが食べられる。
400円のところてんは自家製。
酢醤油と黒蜜が選べ、私は酢醤油にしてみた。
これが美味しい。
非常にしっかりした歯ごたえでかなり太目。
太いひじきの炒め物にマヨネーズをちょっと添えたものもでてきて、こちらも美味しかった。
お店の女性二人は親子なのだろうか、資生堂の話をふたりでしているのをほのぼの聞かせてもらった。
「道かなりくねくねなので、気を付けて走ってくださいね」と娘さんのほう。
たしかにくねくね道。
ただ夏休みも終わったからか、他に走っている車やバイクもほとんどおらず、スピードさえ出さなければとても快適に走れる道だった。
伊豆半島は、海岸線ぎりぎりまで山が迫る地形。
真っ平なちばらきの海沿いで育った自分には、なんとも新鮮であり、驚きでもある。
上から見てもやはり人でいっぱいのヒリゾ浜。
あそこには、いったいどうやってアクセスするんだろう・・・
と思いながら、くねくね道をくだって下まで降りてきたら。
これまでほとんど車ともすれ違わなかったのに、延々続く車の車列。どうやらヒリゾ浜の駐車場空き待ちらしい。
ざっと数えても50台は余裕で越えていた。
この日は9月最初の日曜日。
透明度が高いヒリゾ浜は大人気で、週末は毎回こうなってしまうらしい。
行ったことある人によると前泊推奨とのこと。
その後もカーブ続きの道だったが、展望台で写真を撮っていたら、5,6台のバイクがパトカーに先導されて走りさっていった。パトカーはここで左折して展望台に入ってきたが、バイク集団が爆走しないための指導的先導なのだろうか。
バイク集団の後ろにもパトカーがついていた。
このあたりは、昔からのくねくね道と、トンネル掘ってショートカットした道の2通りの選択肢があるところも多い。
沿岸ツーリング的にはもちろん海が見える沿岸の道を走りたいところだが、そちらを選択すると一気に距離が伸びてしまうのも確か。
それでもやはり遠回りする価値はある。
こんな坂だらけ、段々畑でびっしりの小さな集落風景の中を走れるのだから。絶景に出会えるのも遠回り道だ。
とことこのんびり走れるクロスカブならではの楽しみ方かなとも。
こちらも高校生の時のひとり旅行以来の波勝崎。
駐車場でチケットを購入し、海岸に近い猿がいる場所までは送迎のワゴン車に乗り換えていく。
昔見た風景の記憶が一瞬で戻ってきた。
あの時のままだ。
子ザルもいっぱい。
そして時折、激しい叫び声とともに始まる壮絶なケンカ。
人も猿も、群れの中で生きるというのは大変なことだ。
喚声台。
実はここに来るまで全く知らなかったのだが、伊豆半島西岸の松崎町。
古い建物も残る観光スポットだった。
なまこ壁の建物群。
お腹もすいてきたので、松崎港のすぐ脇にある民芸茶棒へ。
干物定食が美味しかった!!!
脂たっぷりの肉厚干物。自家製だろうか、イカの塩辛もぴりりと辛味きいてて美味しい。
堂ヶ島。
名前忘れてしまったが展望台からの眺め。
そして伊豆半島の北西部も、やはりショートカットせず沿岸ルートを。
沿岸ツーリングって最高だな!と思わせてくれる道。
すれ違う車もほとんどなく、マイペースで走れる気持ちよさ(後ろに車がついてしまうとどぎまぎしちゃう人なので)
ただし油断は禁物だ。
なぜあんなところに車が?
え、おまわりさん?
と思ったら・・・
どうも事故ったらしい。
重症なのはこちらだ。
ちょうどレッカー移動中だった。
どちらもカップル。楽しい週末ドライブデートだったろうに、どちらかがスピード出し過ぎてカーブで膨らんでしまったのだろうか。
他人事じゃないので自分も気をつけねば。
展望台で一番気に入ったのが「出逢い岬」。
眼下に見えるのは戸田(へた)。
長い御浜岬が入り江の口をきゅっと閉じた大きな湾になっている。
下田の開国博物館では、安政の地震・津波で損傷し沈没したロシア人の一行は、この戸田で新しい船「ヘタ号」を作って帰国したというエピソードがあったが、ここは確かにドックに最適な地形だなと。
さらに先に進んだところにある展望台からは、対岸の沼津市内がよく見渡せた。
なぜかそこだけが、白いオーラのようなもので包まれているので雨雲レーダーを見てみると・・・
なんとピンポイントに大雨。
そして伊豆半島の付け根あたりを走り・・・
沈みかけた夕陽に向かって西へ。
沼津市内に向かう道はかなりの渋滞。
伊豆からの行楽帰りの車も結構あるのだろう。
渋滞を避け、海沿いの松原へ。
千本浜公園だ。
防潮堤を超えると、日没直後の穏やかな駿河湾。
こんな空を見ると「旅しているなあ」という感慨にひたれる。
予定していた目的地よりはずっと手前だが、富士市のホテルに泊まることにした。
ツーリングに出てから毎晩ビールを飲んでしまっていたので(中ジョッキ一杯とか缶ビール1本とかだけだけど)、久々断酒するかと思ったら・・・
なんとラッキーサンデーで、グラスビール無料進呈とか。
さらにフロント前のスペースで中ジョッキ一杯200円ということなのでおかわりまでしてしまった。
ここは屋上に足湯もあり、数日前に入手したヴェノーヴァの練習もちょっとできた。そのお話はまた別途。