【17日目】ギックリ腰にもめげず「うずしお観潮クルーズ」「淡路人形座で人形浄瑠璃観劇」
時間がない時ほど慌てちゃいけない。
焦っちゃいけない。
落ち着かないといけない。
・・・ということを、改めて認識した朝となった。
宿泊したのは南あわじ市の高台にある南淡路ロイヤルホテル。家族4人でも泊まれる広い部屋で、ベッドも心地よかったのか珍しく熟睡してしまい目覚めたら9時半。なんてこったい!
まあでもチェックインが11時までなのでよかった。
特にツーリングにはこだわらず、淡路島南部をじっくり観光することにした。まずはうずしお観潮クルーズ。電話で聞いてみると今日9月14日は11:30の回が最も大きなうずが見れるとのこと。ちょうどいい。
ホテルには地下に大きな露天風呂付の温泉もあり、そこのコインランドリーは洗濯も乾燥もワインコイン100円とかなりリーズナブル。そんなわけで、ジャケットにデニムも一気に洗い、すっきり!
窓からの眺めも最高だ。
夜は真っ暗で何も見えず、「大きな入り江なのかな」と思っていたのだが、それが大きな誤解だったことに気付いた。
入り江には違いないんだけど、向こうに見えていたのは四国だった!!!橋は鳴門大橋だ。
問題はここからだった。
11時少し前にチェックアウトしようと荷造りをしていたら鍵がないことに気付いた。
どこ探してもない。
フロントにも届いておらず、駐車場のバイク周辺に落としていることを期待したが見つからず。
結局見つかったのは地下大浴場コインランドリーの乾燥機の中。鍵まで洗濯・乾燥しちゃったようだ。
これで大幅に時間を浪費してしまった。
11時半のクルーズに乗るためには11時頃には来ていてほしいと言われたのだが、既に過ぎている。
いやいや、でもこんな時ほど焦りは禁物。
荷積みが甘いままバイクを出発させてさらにモノを紛失させてしまうかもしれない。
そう思って念入りに荷物をチェックしてバイクを発進させた瞬間・・・
強い衝撃とともにバイクは止まり、耐え切れず倒してしまった。
前輪にU字ロックをつけたままだったのだ。今までも何度か外さず発進させてしまったことはあったが、いつもカツンという感触ですぐ気づいた。
やはり気が急いていたのだろう。
さらに起こそうとした結果、ギックリ腰になってしまった。結局一人では起こせなくなり、ホテルのフロントの女性スタッフの手を借りることに。
最悪の事態だ。
それでもなんとか、1分前に船に飛び乗り、11時半のクルーズには間に合った。
船の中では自動音声によるガイドが。
山の上に建つ三角形の建造物は、太平洋戦争で命を落とした若者を慰霊する「戦没学徒記念塔」。山と海がもっとも美しく見渡せるところに作ったのだという。
クルーズ船は何艘かあり、ひとつ前の回で戻ってきた帆船とすれ違った。汽笛で挨拶しあう二艘の船。こちら側はニコニコ笑顔で手を振ったが、向こう側はいまひとつノリがよくない。
平日にもかかわらずかなりの人。
そして鳴門大橋の真下のうずしお。
あとで動画を貼り付ける予定だが、確かにすごかった。迫力ある。
帰途、船内でうずしおが発生するメカニズム解説ビデオも観た。瀬戸内海の入り口を半ば塞ぐように横たわる大きな淡路島。そのため満潮時と干潮時の境目でタイムラグが生じ、細い鳴門海峡のところに急激な流れができるのだという。
帰途、ふたたび帆船とすれ違った。
行きの時には「なんでだろう」と思った二艘の船の乗客のノリの違いだったが、自分たちが帰途側になってわかった。うずしおで興奮の時間を過ごし疲れている上、すれ違うのも二度目だからテンションがそれほどあがらないのだ。
向こうはこれからだから意気揚々。元気よく手を振ってくれたが、こちらは自分含めぽつぽつといったところだった。
干潮と満潮のタイムラグのようなものか。
このお土産はいいなあ。
観潮クルーズから戻った後、バイク転倒で問題発生していないか点検するついでに、緩んでいたリアボックスのボルトの締め直しなどの作業をしていたら、大阪から夫婦で旅行に来ているという人に話しかけられた。
ヨットをやめバイク旅を始めようと思っているとのこと。
北海道ツーリングをしたいのだとか。
このクロスカブにも興味津々で、ヘッドライト上のカメラ固定台や前かご、サイドバッグなど細かく見ていて、あとで参考にしたいと写真も撮っていた。
気付けば沿岸ツーリングも4年目。
毎回、前年の反省を踏まえいろいろアップデートし装備も増えたり減ったりし、自分としてはスタイル完成したかなという感じ。
観潮船の乗り場がある道の駅の向かいには、人形浄瑠璃・淡路人形座のシアターがあった。ちょうど上演時間だったので観に行ってみることに。
ひとつめの演目が「戎舞」、その後人形浄瑠璃の解説があり、八百屋お七の「火の見櫓」、さらに舞台の奥の絵がどんどんと変わってゆくののデモも。
実はこれが人生初の人形浄瑠璃。
木で作られた骨格と関節に衣装をかぶせた人形が、なぜにここまで美しくも滑らかな曲線を描いて動けるのか。細やかな動きに繊細な表情、思わず食い入ってしまった。
「まるで命が宿っているような」
とよく言われるが、その描写がよく理解できた。
とくに火の見櫓に登るシーンでは、人形の操り手もすべて櫓の中に入って見えなくなったため、お七の情熱的な動きにぞくぞくさせられた。
平日なのでそれほどお客さんはおらず。
一方人形を操る人たちは1体に3人、そして三味線、語りの人などで、演じる人のほうが多かったかもしれない。
最後に記念撮影も。
この人形もかなりの歴史があるものだそう。
そこからマルシェへ。
ご飯を購入して、物販エリア側で販売されている刺身を自分で乗せて「刺身盛り」をセルフで作って食べることができる。
ハモなども。
さらに淡路島の特産品である玉ねぎのトッピングも。
淡路島ピザを頼めば無料で乗せ放題とのこと。
自分が注文したのは、ここの人気メニューだという「福良フィッシュバーガー」。ピザ生地に薄焼した卵、そしてサクサクの魚のフライ。タルタルソースも美味しく、お替りしたくなる美味しさだった。
ランチ後は山を登って日帰り温泉施設のゆーぷるに。
ギックリ腰で、まっすぐ立つのも厳しい状態になっていたため、温めて少しでも改善できたらという思いだ。
露天風呂がなかなか変わっていて、小さなウォータースライダーのようなものがあったり、両腕でぶら下がって前に進んでいく、小学校の校庭にあった運動器具のようなものまで設置されていた(名前度忘れ)。
それで腰状況が改善されたかどうかは不明だが、淡路島在住の友人が東京への出張から戻ってきたということなので、サンセットスポットの慶野松原で会うことになった。
そこに行く途中、ちょっと寄り道したのが鳴門岬。
びっくりするほど細い岬だが、すぐ横を神戸淡路鳴門自動車道が走っており、それと並走する一般道がある。
ああ、あの道をクロスカブが走れたら、四国に簡単に渡れるのに・・・。
岬の先端には道の駅うずしお。
全国ご当地バーガーグランプリで1位と2位を受賞したバーガーが食べられるところだそう。
淡路島はここに限らず、パッケージのセンスも高いなかなか魅力的なお土産品が多い。関西の一大リゾートで、多くの人が訪れるからなのだろう。
見ていると買いたくなるものだらけだ。
道の駅内のレストランや屋外展望台からは鳴門海峡とその上にかかる大鳴門橋が一望できる。観潮船に乗らずとも、ここからでも渦潮がよく見えそうだ。
そして淡路島と言えば玉ねぎ。
かなり時間をかけて作り熟成させた、甘い玉ねぎなんだとか。
サイズもかなり大きい。
そんな玉ねぎ。
ソフトクリームにもなっているというので食べてみた。
確かにほんのり玉ねぎの味。
ソフトクリームの甘さともあっている。
しかし、ここまで「玉ねぎ推し」とは、来てみるまで知らなんだ。
そこから海沿いの道を北上。
東側のダイナミックな道も最高だったが、こちらも海のすぐ横を走れる沿岸ツーリングにはもってこいのルートだ。
車も少なく気持ちがいい。
多少のアップダウンもある。
そういえば、この子供飛び出し注意看板。
淡路島にもたくさん設置されていた。
レンタカーで島を回っている観光客も多く、車が少ないだけに飛ばしてしまう人も多いのかもしれない。
ただここ淡路島の看板、ちょっと変わっている。
これは普通の小学生を描いたものだが、他に「アンパンマン」ぽいもの、不思議なキャラクターなどもあるのだ。
中でも一番びっくりしたのは、制服を着た警官が飛び出している看板。
近付いて写真を撮りたかったのだが、ちょうど婦警さんが出てきてしまったので断念した。
お巡りさんが飛び出してどうする(笑
慶野松原に到着したのは五時半頃。
サンセットには間に合ったが、残念ながら雲がちょっと厚すぎ。
友人が車で、コーヒータイムに。
今回は500mlポットを持参し、途中でインスタントコーヒーも購入した。
宿で濃いめのコーヒーを作り、それをコンビニで購入したカップ入りのクラッシュアイスで冷やして飲むのが今回のツーリングの楽しみのひとつ。眠気覚ましにもなる。冷え込む日なら温かいままでもいいし。
ガラス瓶のインスタントコーヒーはかさばるので、次回は必要な分だけプラ容器かジップロックの袋に入れてこようと思う。
そして友人登場。
サイト運営者つながりの人で、もともと神戸在住だったが、淡路島に魅せられて移住した人。
住み始めたころはバイクであちこちまわっていたけど、最近は車だけになっていたため久しぶりに整備して動かしたのだとか。
東京では何度も会っているし一緒に飲んだこともあるけど、やはりその人のホームベースで会えるというのは特別なことだ。
厚く立ち込めていた雲も、ちょうど太陽が沈むポイントだけ切れ目を作ってくれた。ドラマの撮影などでも使われる場所で、雲がないとこんな感じだよと見せてくれた写真は・・・
これは確かに見事!!!
沈んだ後の夕焼けはきれいだった。
でもやはり前の日の燃えるような空のほうが感動的だったかな。
宿は五色の市街地の中。
ボランティアスタッフのカナダ人女性が宿の説明をなぜかすべて英語でしてくれ、パスタも作ってくれるというがそれは遠慮し、友人おススメの海鮮も食べられる焼肉屋まで歩いて向かった。
バイクに乗っていると忘れてしまうが、やはり腰が痛く直立できない。なんとかせねば・・・。
淡路牛にも惹かれたが、関東では食べる機会がない「生さわらたたき」にしてみた。
それがこれ。
かなり厚みのあるさわらは、とろり甘く柔らかく、どこか鶏わさ的な感じの食感と味も。
食事をしながら、淡路島の後のプランを考えた。
気がかりなのは、かなり巨大だという台風18号。沖縄から九州に向かって東進していた。
遠くでも大雨を降らせるということで、このままだと小豆島の頃から天気が大幅に崩れる。今朝やってしまったぎっくり腰も大きな不安要因だ。
「小豆島は次回にまわすか」
淡路島最後の夜は、道の駅で購入した淡路ビールで。