<小型バイクでツーリング>九州一周沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>九州一周沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>九州一周沿岸ツーリング記

バイク歴2年半の初心者ライダー(♀46歳)が、赤いクロスカブ(110㏄)に乗って九州へ!総距離3,000キロ以上。2016年4月の大震災&豪雨で被害を受けた熊本・南阿蘇へも足を伸ばし、海岸線を時計回りにぐるり一周してきました。
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今しか見ることができない"被災"熊本城~南阿蘇へ

二度の大きな地震で、石垣も崩れ瓦も落ちてしまい甚大な被害を受け変わり果てた姿になった熊本城。見るも痛ましい姿ではあるが、同時に今しか見る事のできない貴重な風景でもある。そしてぜひ、熊本城訪問の際にはボランティアガイドの方に案内してもらうべきだ。自分たちだけで歩いて回っているのでは気付かないことも細かく説明してくれるので。

●観光ボランティアガイド「くまもとよかとこ案内人の会」

前夜に飲んだ夢子さんもこの「くまもとよかとこ案内人の会」のメンバーで、今はFacebookやブログを通じて情報発信をしている。ここのブログを見るだけでも、熊本と熊本城の今の状況がよく理解できると思う。

●くまもとよかとこ案内人の会ブログ

事前に予約をする他、熊本城の中にある飲食店やお土産物屋さんが立ち並ぶ一角「城彩苑」の中の観光案内所でも申込ができる。

そこからスタートしてまずは行幸橋を越えて長塀通りに。ここからは正面に馬具櫓が見えるのだが、そのすぐ下の石垣が崩れ、中身がどっと下に流れ出てしまっている。テレビでは、基盤がほとんど崩壊しつつ、石垣の一番角の隅石だけで支えられて建っている飯田丸五階櫓の映像がよく流れるが、熊本城には他にも多数の櫓があり、他にも崩壊しかかっていたり既に崩れ落ちてしまっているところがいくつもある。

ちなみに飯田丸五階櫓は、私は直接は見ることができなかったんだけど、くまもとよかとこ案内人の会のブログに、鉄筋のブリッジで支えられた状態の櫓の様子が掲載されている。

●飯田丸五階櫓の次のステップが早くみたい - くまもとよかとこ案内人の会

「石垣の中って土なのかと思っていたら、中にも細かい石があんなにびっしり詰まっているんですね!」と驚くと、抱えていたバッグの中からファイルを取り出して、詳しく説明してくれた。水はけをよくするため、石垣の裏には「裏込石」というものが入っているのだという。河原などから採取した丸い石が多いそう。実際目の前で流出している石も、河原の石のような、大きさも比較的同じ丸みのあるものだった。さらに石垣を安定させるための飼石などの説明もしてくれた。

通常の石垣を見ながら説明されてもぴんとこない気もするが、通常では目にすることのない「中身」もが露出している今は、不謹慎ではあるけど、非常に貴重な機会でもある。石垣がどういう構造になっているのか、なぜどこも角の隅石だけが残っているのかなど、たくさんのことが学べ、かつ実感できるはずだ。

観光客も激減の熊本城だけど、今しか見ることのできない姿もぜひ見ていただきたい。
ボランティアガイドの方もそうおっしゃっていた。

ちなみにここにある「熊本城」と刻まれた石も、上部が45度くらい回ってしまったそうだ。

もちろん城内には入れない。
8月中旬時点ではまだ修復作業は始まっておらず、何層にもなっている複雑な作りの熊本城は城内も石垣だらけなので、敷地内はまだ危険だ。

「もしあの地震が昼間に起きていたら・・・」

ボランティアガイドの方によると、大勢の観光客が必ず通る道のすぐ脇の石垣も崩れて大きな石が落下しており、けが人だけでなく死者もでてしまったことだろうとのこと。熊本城が今、復興に向けてのシンボルのひとつにもなっていることを考えると、ここで死傷者がでなかったことは本当に不幸中の幸いだと思う。

二の丸広場から見た辛亥櫓。

城内に入れないとはいえ、実際にはこれだけ間近で見ることができる。
辛亥櫓を回り込んで加藤神社に至る道は既に通行可能となっており、その両脇の崩れた石垣がもっとも近い場所だ。

大天守と小天守と宇土櫓。

これは加藤神社内に置かれていた石垣の一部。
うっすらと観音菩薩像が刻まれているの、見えるだろうか。

元々は「板碑(いたび)」と呼ばれる仏像を彫って供養する石碑で、築城の際に石垣に転用されたと推察されるという。15~16世紀に彫られたものと考えられ、美濃口さんは「築城以前の人々の暮らしや、築城時の様子が垣間見える貴重な資料だ」と話す。 ●崩れた石垣に観音菩薩現る 熊本城内の宮司がFBに投稿:朝日新聞デジタル

加藤神社からは、大天守・小天守もよく見え、ここが記念撮影スポットになっている。
どちらも最上部の瓦が落ちてしまっており、何度もの豪雨で中はどうなっているのだろうかと素人ながら心配になる。私の実家も2011年の東日本大震災で瓦が落ち半年以上ブルーシート屋根となり、長らく雨漏りとなったので。

無料で配布される熊本城のガイドブックでは、この大天守・小天守・宇土櫓の写真が表紙を飾り、こんなメッセージが書かれている。

「歴史の1ページ。今だから見に来て欲しい!!」と。

そう、これも歴史の貴重な1ページ。
今しか見る事のできない熊本城がある。行く価値がある。

実際に来て、熊本城を目にすることができたのは、自分にとって本当に貴重な体験だった。

暑い中を歩いたので、再び城彩苑に戻り黒糖かき氷。

さらに熊本市内にあるバイクショップ「2りんかん」でチェーン清掃してもらい、バイク用のデニムを一枚購入(先日Uターン時に転んで破いちゃったので)。

そこから再び市内中心部に戻り、スペインバルで並びに座っていた市内在住の女性が一押ししていた「こむらさき上通り中央店」へ。

こってり美味♪

そこから南阿蘇へ向かう途中に、NHKブラタモリで紹介されていた「鼻ぐり井手公園」へ。

火山灰土砂が灌漑用水路に溜まらないよう、水流穴を作り、渦を巻く構造にしている。これがないと、頻繁に底をさらって火山灰土砂を掻き出す必要が発生する。

ただしその背景を知らない江戸時代末期の役人により、多くは壊されたそう。伝達ってほんと大事だよねという教訓。

熊本市内から南阿蘇に向かう道は今、阿蘇大橋の崩落などにより通行止めになっているところも多い。
ボランティアつながりの人の情報から、比較的込まない「グリーンロード」を通っていくことにした。

外輪山を越え、眼下に南阿蘇を見下ろす。
このグリーンロード、きっと好きな人にはたまらない道なのだろうが・・・

110㏄のクロスカブにはちとしんどかった~。高低差がかなりあり、10%の傾斜をどこまでも上ったかと思うと、今度は逆に10%の下り坂を延々走る羽目に。エンジンブレーキ使ってもどんどんスピードアップしてしまい、ドキドキだった。

そうして辿り着いたのは、南阿蘇の「カフェ ZINGARO」。
ここは現在、週末だけ営業し、それ以外の時期は復興支援で滞在しているボランティアのために提供されている。

単身で来ている女性ボランティアも多く、中には半月以上滞在して活動している女子高生まで!!!

「テント張るの手伝いますよ」

と、まだ自己紹介もする前に何人か集まってくれ、4人で一緒にわいわいテント設営。なにやらとっても居心地よさそうな場所だし、メンバーだ。

「今から温泉行くんですけど、一緒にいかがですか?」

そういってもらい、高森温泉館へ。

そこから地鶏焼の田楽へ。

店内には大きな囲炉裏がずらり。

ここで地鶏を網焼きにしていただく。
南阿蘇についてまだ2時間も経っていないというのに、大勢で温泉に浸かるは美味しい地鶏は堪能するわで、なんとも言えない展開。

そしてボランティアベースに戻ってきて、ブルーシート広げて何やらお花見状態に。

今回のツーリングの目的のひとつは、南阿蘇でのボランティア活動参加。
東北でのボランティア活動を通じて知り合った人たちが何人も、5月以降熊本に飛んで活動していたのをFacebook越しで見ていて、自分も少しでもいいから何かできればと思っていた。

2日間だけだけど、ツーリングを一時中断してここ拠点に活動に参加させてもらいます♪

●南阿蘇復興支援センター よろず相談室