【5日目】フェリー&バイクで隠岐諸島巡り
他に誰もいない西ノ島・耳浦キャンプ場の朝。
隠岐諸島へは境港などから大型フェリーがでているが、手前の3つの島「島前(どうぜん)」の島々の間にも定期航路があり、バイクと一緒に移動できる。
そんなわけで初日に宿泊した西ノ島から中ノ島(海士町)に立ち寄ってから「島後」隠岐の島に向かうことにした。
▼日本海沿岸ツーリング5日目<隠岐西ノ島~海士町~隠岐の島>(7分31秒)
自分以外誰もいない、島の入り江のキャンプ場。
お湯をわかして珈琲を淹れ、商店で買ってきた菓子パンで朝食。
メスティン&固形燃料のセットを持ち歩くようになってから、気軽にお湯を沸かして珈琲タイムすることができるようになった。ツーリング時は、時間があるなら移動か観光か睡眠にまわしたいので調理はしないが、お湯が沸かせればちょっとだけのんびりする時間もできる。
今回は豆ではなくインスタントコーヒーだが、それでも十分、朝時間が充実する。
朝一番の「フェリーどうぜん」は、西ノ島町の別府港を7:50に出航する。
車やバイクは船体で一列に並ぶ。
後ろから入って前からでるシンプルな導線だ。
そして10分ちょっとで、中ノ島・菱浦港に到着。
こちらも非常に複雑な海岸線をもつ入り組んだ形の島だ。
北側はぐるっと一周できるが、南のほうは西ノ島同様、道は尾根沿いに一本あるだけのようだ。
菱浦港フェリーターミナルはとてもきれいでおしゃれな建物で、お土産ショップや観光案内所、さらにレストランや観光客用の休憩スペースも作られていた。その一角の屋外テラスには木製のテーブルとイスが並べられており、海を見ながら食事をしたりお茶したり、おそらく夜ならビール飲んだりできるようなスペースになっている。
さらに提灯なども吊るされていてなんだろうと思ったら、その夜は・・・
「キンニャモニャビアガーデン」
が開催されるのだとか!
わー、これ面白そう。
ビアガーデン好きとしてはかなりそそられ、真剣に隠岐の島町予定をキャンセルして中ノ島に貴重な一泊を投じてしまおうかと思ったほどだ。まあ思いのほか小さな島で、一周して戻ってきたらまだお昼だったのでその計画はなくなったが。
まずは隠岐神社へ。
ここは1940年創建の比較的新しい神社だ。
隠岐配流となった後鳥羽天皇が、ここにあった源福寺に滞在をしており、19年後に崩御した後はこの裏山で火葬にされた。
そんなことから後鳥羽院神社が創建され祭祀がとりおこなれていた。
で、紀元二千六百年記念行事の一つとして島根県がこの地に隠岐神社を創建したのが戦時中の1940年。
奉納相撲の土俵も作られていた。
腰掛けの松。
絶景スポット「明屋(あきや)海岸」。
穏やかな入り江は海の色も本当に美しい。
ただこの時自分は情報収集不足で知らなかったんだけど、海岸まで下りていくべきだったのだ。
というのも、観光マップにもあった三角形の岩が「ハート岩」で人気の写真スポットだったらしい。
まあ・・・こういうのは写真で見ればいい気もしつつ。
そこから日本名水百選「天川の水」へ。
蚊がすごかったので飲むには至らず。
島の中央部分から南端にかけては、海岸沿いではなく、山の尾根に作られた道をずっと走る。両側に海が見え、西ノ島などもすぐ近くに見える。
西ノ島の摩天崖に至る道ほどの高度はないが、とっても気分爽快だ。
南端の木路ケ崎。
細い岬で、ぐるり300度近くが海だ。
誰もいなかったので、三脚使ってバイクとのツーショット記念写真も。
馬はいた。
こんなところにつながれて暑いだろうに・・・
最後は島の北部西側の道を走り、再び菱浦港へ。
この道も驚くくらい、自分以外には誰も会わない道だったが・・・
カーブ道でいきなり牛に遭遇したりするので、油断は禁物だ。
間違っても貴重な隠岐牛をはねてしまってはいけない。
そしてフェリー時間より少し前に港に戻ってこれたので・・・
港から歩いてすぐの、観光客に人気のレストラン「島生まれ島育ち隠岐牛店」へ。
ここはその名の通り、島で育ったほんものの隠岐牛がリーズナブルな価格で楽しめるというお店。とはいえ、なかなかなお値段だったので、その中では比較的安価な牛丼で。
こんな短い期間にフェリーを乗り継ぐことも人生で滅多にないと思うが、中ノ島を半日観光した後は、「フェリーくにが」に乗って島後・隠岐の島町へ。
本州と隠岐諸島をつなぐ隠岐汽船の船で、島根の七類港を9:30に出航した後、知夫村・西ノ島・海士町と島前3島をまわって島後・隠岐の島町に着くというもの。
菱浦港を12:50に出発し、隠岐の島の西郷港に14:00到着する。
島後・隠岐の島町の西郷港についてびっくり。
先に訪れた2つの島前の島とは比べ物にならないほど大きい!!!
港の前には信号機もあり商店がずらり並んでいる。
まずは観光案内所に行って、地図をもらった。
そして見所など教えてもらう。
ここは観光客用の資料の充実度もすごく、「バイクで回るんだけど、滝に行くにはどの道を通ったほうが走りやすいか?」と聞くと、ドライブ用のプリント資料を持ってきてくれ、行き止まり箇所や分岐点の目印などもしっかり書き込んだ地図で説明をしてくれた。
最初に訪れたのはここでも神社。
国指定重要文化財にも指定されている「玉若酢命(たまわかすみこと)神社」。
上の写真の右側に映っている巨木が、国指定天然記念物の「八百杉」。高さは30mで樹齢は千数百年とのこと。
隠岐造りの本殿。
隠岐国の総社で1793年の建築だ。
威風堂々とした八百杉の貫禄の幹。
すぐ近くにある江戸後期の建築物、億岐家住宅。
玉若酢命神社の社家として代々神職を勤めている家とのこと。
壇鏡(だんぎょう)の滝。
ここは駐車場にバイクを停めてから、川沿いの参道をしばらく歩く。両脇に背の高い樹々が並び、ここだけは涼しかった。
辿り着いたのは切り立った岩壁に建てられた壇鏡神社。
そのすぐ脇を、落差約40mの滝が落下している。
角度によっては滝の中に虹を見ることも可能だ。
小さな子供を連れた母親がタクシーチャーターして島めぐりしているらしく、人のよさそうな温和なタクシー運転手さんが、河原にも下りて子供たちにいろいろ教えているのが印象的だった。生き物や植物などの話かもしれない。
この一行とはルートが同じだったようで、その後も何度も出会い、毎回笑顔で会釈した。
水平線に浮かび上がるのは、少し前までいた島前の島々。
「福浦トンネル」というのが気になり、南側から行こうとしたら車両通行止め。
仕方なくバイクを置いて徒歩で向かった先にあったのは、素掘りトンネル!
ただ「危険!立ち入り禁止」とあり、その先の道も草ぼうぼうらしいのでここまでで断念。
あとでちゃんと地図を確認して知ったんだけど、福浦トンネルは北側からならバイクで行けたようだ。
●【福浦トンネル】アクセス・営業時間・料金情報 - じゃらんnet
こっちも見ておきたかったなあ。
そして隠岐の島町の人気観光スポット「ローソク島」。
観光協会のサイトでも筆頭にあげられている。
島後の北西の沖合いに海から約20メートルの高さでそびえ立つ奇岩ローソク島。島の先端に夕日が重なるその瞬間、まるで一本の巨大ローソクに火を灯したように輝く奇跡の光景。この光景は、遊覧船しか見れません。
●隠岐の島 定番観光スポット10選|[公式]隠岐の島町観光協会
遊覧船で夕陽シーンを見てしまうと、日没前に宿に着くというのが難しくなるため、展望台からにした。
上の写真はかなりズームして撮ったものだが・・・
実際はこんな感じ。
一目見て
ちっちゃ!
と思った。
やっぱり日没時に遊覧船から見ないとだめなものかも。
そうして辿り着いた古民家ゲストハウス。
若い夫婦が二人で営んでいる。
広いラウンジには立派な一枚板の長いテーブルが据えられている。
オーナーさんはもともと飲食店で働いていた方だそうで、私は夕食なしにしてしまったが、泊まっていたフランス人男性によると料理はとても美味しかったそう。
カウンター席もあり、飲み物もいろいろ。
バー・カフェ併設ということで、お酒や食べ物の持込はどうなんだろうかと思い途中で買っていかなかったが、それはそれで問題なかった模様。
でもせっかくなので、バーでビールとおつまみを注文。
フランス人男性は、宿に行く途中の商店で出会っていた人だった。ロッテのマカデミアナッツチョコが大好きだそうで、それがないかお店の年配女性に聞いていたのだが見つからずがっかりしていた。
後でゲストハウスのオーナーさんの奥さんのほうに聞いたら、ベジタビリアンなのでナッツが必要だったのだろうとのこと。
走る旅行スタイルだそうで、この隠岐の島も内陸山岳エリアを走ってまわっていた。それにしても隠岐諸島まで来るなんて通だなあと思ったら、既に日本は何度も来ており、青森の恐山などもいっているのだとか。片言の日本語も話せており、そのユニークな旅スタイルの話には驚かされっぱなしだった。
この日、男性は宿泊者が2人いたが女性は自分だけ。
そんなわけで、本来は相部屋になるはずの8畳和室をひとりで独占。ラッキー♪
▼日本海沿岸ツーリング5日目<隠岐西ノ島~海士町~隠岐の島>(7分31秒)