【17日目】なまはげに出迎えられ空も海も青い男鹿半島の絶景を走る
「男鹿半島はいい!」
そう聞いて楽しみにしていたのだが、実際訪れて期待以上。
先端・西岸の絶景ロード、さらにぐるり壮大な展望が広がる寒風山。間違いなく「また走りにきたい」場所のひとつだ。
今回の沿岸ツーリング、今までになく好天続きで「むしろ曇って欲しい・・・」と思う程だったが、南方では実は台風10号が発生していた。日本海に抜けるが、進路によっては青森あたりで追いつかれてしまいそうでもあるし、少し前から影響を受け風雨が強まる可能性も。
ちょっと悩ましいのは、ちょうどお盆時期にぶつかっていて「宿がとれなくてもテント泊できるからいいや」がこの先厳しくなりそうなことだ。
秋田市内を出発し、最初に訪れたのは道の駅あきた港。
ここにはガラス張りの高層建築物「ポートタワーセリオン」がある。高さ143メートルの場所にある展望室が無料ということで、あがることにした。
ここで出会ったのが、話には聞いていた「ババヘラアイス」。
秋田の夏の風物詩だそうで、屋外のアイス売りだ。
ババヘラは、主に日本の秋田県で露天販売されている氷菓[1]の一種、およびその販売形態。「ババヘラアイス」とも呼ばれ、また一部地域では「ババベラ」とも発音される。販売員を務める中年以上の女性(ババ)が、金属製の「ヘラ」を用いてコーンへ盛りつけることによる呼び名である。
「ババ」ってなんかひどい気がするんだけど、そんなことはないのかな。
展望室からの眺めはなかなかもの。
すぐ下に、貨物支線の線路が扇のように広がっている。
空を撮影している人たちがたくさんいて、なんだろうと近付いてみたら、吉田輝星選手のサイン。
そして何よりインパクトあったのが、この後進む方向の風景。
これまでもたくさん並んでいたが、さらに増量された・・・
「風車」
なんなんだ秋田のこの風車尽くし風景は!!!
実際、海沿いの幹線道路は延々と風車を眺めながらのツーリングとなった。
これだけあると流石に、フォトジェニックだ!なんて感覚すらなくなってくるよ。
男鹿大橋の手前で、なまはげの歓迎を受ける。
入口に巨大ななまはげが立つのは、男鹿総合観光案内所。
このなまはげ写真を撮りたくて立ち寄っている人も多いようだ。あとでまたすれ違うことになるのだが、カブ2台(うち1台がクロスカブ)で来ている二人組男性も見かけた。
青空に映える巨大なまはげ。
そしてここでもババヘラアイス。
この児玉冷菓というのが、ババヘラアイスの大手らしい。
盛り付け方は、担当する女性によっていろいろのようだ。
インスタ映えする撮影アイテムを貸し出してくれるようだ。
一人でなかったら、あるいはスマホを置いてタイマー撮影できるスタンドが用意されていたら、なまはげになって自撮りしたかった。
この日、男鹿半島では花火大会が行われるということで、車もちょっと多め。
台風の懸念さえなければ、残っている予備日をここで使い、近くに一泊し花火を見たかった。
男鹿駅からも近い場所、男鹿海鮮市場内にある「海鮮屋」でお食事しようかと思ったが、あまりの混雑ぶりに断念。お盆期間中はもう仕方がない。
さらに先に進むと、何やら海の中にたくさんの人。
鵜の崎海岸で、地図にも「ちょっと不思議な海の風景」とのコメントが書き込まれている。
遠浅の海水浴場だと思うのだが、海水浴をしている人はおらず、皆、黙々と海の中で何かを探している感じ。地元出身の人のFacebookコメントによると、貝やカメノテなんかもいて磯遊びしながら夕食のおかずもゲットしているようだ。
お盆で多くの人が帰省するタイミングで、盆踊り大会も開催されるよう。港にこんな舞台がくまれ、提灯で賑やかにデコレーションされていた。
男鹿半島の道もすべて海岸線。内陸の山はそれほど高くはなく、でも濃い緑だ。
そして海岸沿いにたくさんの車やバイクが駐車されている場所があった。
男鹿半島の観光名所のひとつ、ゴジラ岩だ。
なんとなく写真映えも考えて海水が来ているギリギリの場所に停めたが、あとでお話をしたバイク乗りの方によるとここ、満潮時には完全に海に沈む場所だそう。うっかり車を停めたまま遠くにいってしまったりすると、帰ってきた時に近付けなくなったりもするそう。
ゴジラ岩。
ちなみに毎日一分間腕立て伏せを行い、それを映像に撮影してインスタでアップというのをしているのだが、せっかくならここでやりたいと思い、観光客だらけのゴジラ岩のふもとで、なんとか人目につかない岩場を探し、そこでこっそり腕立て伏せをした。
それが後で、顔青ざめる事態になるとは思わずに・・・
ゴジラ岩から先が男鹿半島ツーリングのハイライト。
緑の大地が海に滑り込むリアス式海岸。
海の色も美しい!!!
ゴジラ岩から先は車もバイクもあまり走っておらず、風景を独占状態。
最高!!!
と叫びたくなるほど盛り上がりながら連続カーブ道を走り、男鹿半島北西部にある岩ガキが美味しいという推和丸の店というところの駐車場にバイクを停め、さあ店に入ろうかと思った時に初めて気付いた。
「ウエストポーチがない・・・」
お財布やもろもろ、全部ウエストポーチに入れ、走行中は前かごに入れ、バイクから降りる時には腰に付けていた。
外したのは・・・ゴジラ岩の岩場だ。
一分間腕立て伏せするのに邪魔になると外し、風で飛ばないよう岩場のくぼみに置いた。
税金納付用に用意していた7万円くらいの現金が入っている上、クレジットカードなどもすべてそこ。やばい。人目につかないところとはいえ観光客だらけのゴジラ岩。悪意ある人に持っていかれちゃったらどうしよう。交番に届けてくれた人がいたとしてもきっとそれがかなり遠いだろうなあ・・・。
地元ライダーが「満潮の時には水没する」と言っていた。
ゴジラ岩まで約25分。間に合うだろうか。
かなり真っ青になりながら、そこから同じコースを逆行。
その途中で、観光案内所で見かけたカブ2人連れともすれ違った。
幸い、車はまだいっぱい停まっており、海面上昇もなかった。
そしてウエストポーチも無事見つかった。
いやー、本当に良かった!!!
もう一度同じルートを戻って男鹿半島一周の続きをしようかとも思ったが、あまり時間の余裕がないので泣く泣く断念。そこから直接寒風山を目指すことにした。
雲がかなり低めの位置だったこともあり、それほど高い山ではないのだが、どんどん天上世界に近付いていくような感覚に。
そしてたどり着いた寒風山の展望台。
ユースホステルに泊まった時に同じテーブルで夕食をとった2人組の男性のうち一人がぜひここにと勧めてくれた場所で、それがなかったら立ち寄っていなかった可能性もあるのだが、本当に来てよかった。絶景だ。
理由は確認していないが、この山、気がほとんど生えていない。
まるで阿蘇の大観峰のようだ。
大観峰同様、ライダーの聖地のようで、お盆休みを使ってのツーリングなのだろう。グループでやってくるバイクが次々。車だと一番上の駐車場は台数も限られているので、少し下の駐車場に停めざるをえないのだが、バイクなら空きスペースにいくらでも停められるのでラクチンだ。
ランチをとりそびれ小腹もすいていたので大根餅を。
寒風山から男鹿半島北側に向かって降りる途中、もう一度カブ2人組とすれ違った。観光案内所で最初に見かけてから実に3回目。おそらく向こうも、頭頂部にアクションカメラをつけて一人で走っている赤いクロスカブとして認知していることだろう。
男鹿半島の海岸線をまわっているだろうに、なぜ2度もすれ違ったのかきっと不思議に思ったに違いない。
男鹿半島の後は、まっすぐな海岸線を能代に向かってひたすら北上。
ここの風力発電濃度がまたすごい。
さんざん見てきたが、それでも写真撮影をせざるを得なくなるほど。
多いなんてもんじゃない!!!
思わず意味もなく動画まで撮ってしまったほど。
ちなみにツーリングマップルに「日本最大級の油田」と書かれていたので、それはぜひとも見なくてはと思い走っていたのだが、本当にこっちにあるの?というくらい、細いフラットダート道。半信半疑ながら走って行ったら・・・
あった!!!
なんか想像していたのと違ってすごい地味なんだけど。
ちゃんと「火気厳禁」とある。
そりゃそうだ。
これが油田パイプラインというやつだろうか。
地味だ・・・あまりに地味だ。
そして風車地帯を走る。
にょろにょろのようだ。
このあたりの風車は、小ぶりなものが多い。
投資的な感じで急増しているのだろうか。
こんな小さな風車で発電できる電力量なんて大したことない気もしてしまうのだが、ちゃんと採算はとれるのだろうか。いろいろ謎が深まる。
そして日没前に辿り着いたキャンパルわかみコテージ村。
比較的静かな、大人のキャンプ場という感じ。ソロテント泊の人もいた。
食糧&ビールを買いに行った先で見た夕焼け。
この後キャンプ場まで戻ってきたところ、隣接ビーチに日が沈んですごくきれいだったので、そのまま砂にバイク突っ込んで停めてビーチでプシュしようとしたところで
「あれ。バイク押してキャンプ場まで戻るのか?」
と気付き、ビールをしまってキャンプ場に戻ってきた。やっぱりなんか疲れてる。肝心なところの判断力が落ちてる。
ビール飲みながら写真取り込みをしようと思ったら、朝方充電100%だったはずなのにまたしてもバッテリー切れ。やはり箱の中で勝手に起動してしまった模様。悲しい・・・
炊事場も充実のキャンプ場だったが・・・
私はお湯を沸かして焼きそばUFO。
普段は夜は唐揚げとかアジフライとか、たんぱく質のおかずだけなんだけど、今日はお昼食べそびれたので夜に炭水化物を。
エアマットにインフレーター式のマット。
そして寝袋インナー。
快適です。