【13日目】クジラの太地町に本州最南端、そして格好よすぎるカブの方々と円月島サンセット
たまたまなのか。
それとも紀伊半島はそういう場所なのか。
梶賀でもそうだったけど、紀伊半島に入ってから突発的な土砂降りが多い。「そんな予報だったっけ?」と雨雲レーダー見ても小さな雨雲が頭上に点在しているだけだったりする。
新宮市のビジネスホテルで寝ている間にも一時間に50㎜を超える雨が降っていたようだ。まあ、疲れてぐっすり眠っていたのでほとんどわからなかったけど。
熊野三山は参拝しないけど、ホテルからも近い場所に世界遺産にも登録されている補陀洛山寺があったので立ち寄ってみた。
ここは捨身業である補陀落渡海発祥の地。
行者は、舵はじめ操船手段が何もないこんな船に乗って沖に出たそう。
社殿風の那智駅の隣には温泉も併設されている。
そしてクジラの街として知られる太地町へ。
ここは至る所、クジラのモニュメントやイラストだらけだ。
入り江の一角が大きな公園になっていて、そこにはお役御免となった捕鯨調査船が展示されていた。調査船になる前は一般の捕鯨船。
かなり巨大だ。
捕鯨をめぐっては議論いろいろあるが、巨大な最新設備も整えた捕鯨船が船団を組んで世界の海に乗り出し、日本列島の近海だけでなく世界中でくじらを絶滅の危機に追いやったのは事実。
捕鯨禁止で、一部の種類のクジラの頭数は漁を再開できるほどに復活してきたが、まだまだ回復していない種もある。調査捕鯨を名目にした実質的な「クジラ漁」が他国の環境保護団体から批判されているが、それも仕方ないんじゃないかなあと。
そのすぐ近くにあるのがくじら博物館。
入ってすぐのところにミュージアムショップがあるのだが、ここの商品ラインナップが面白い!!!自分も持っているくじら靴下はこんなにカラバリあった。
そしてここの博物館、展示がとても面白い。
吹き抜けのメインホールに展示されたこの骨格は、よく見ると「銛の命中箇所」というプレートがつけられていて、その上に赤い銛が。
生物としてのくじらの博物館であると同時に「クジラ漁」が大きなテーマになっていることがわかる。
そして手作り感も満載。
なかなかほのぼのする。
捕鯨砲。
そして天然の入り江を使ったイルカショー。
ならぬクジラショー。
ちなみに今回のツーリング行程どこもそうだが、津波が起きた時に被害が大きな入り江の街が多いので、こうした緑色の避難路の看板が至る所にたっている。
この場所はすぐ脇に高台に登る階段があるので書かれていないが、通常は「●メートル」という距離もある。
で、ランチはクジラ。
調査捕鯨どうよとか言っておきつつ、そのあたりは緩やかです。
ごくごくたまに食べるくらいがちょうどいいんだと思う。
クジラも、同じく絶滅危惧種になっているウナギも。
こちらも奇岩風景。
地中の隙間を吹きあがったマグマが、その後地殻変動で地表にでて、間の柔らかい部分だけが侵食されてこんな不思議な風景となった「橋杭岩」。
レンタルの大型バイクでツーリングにきている台湾人と思われるグループも見かけた。
ぶつぶつ川。
上に「二級河川」と書かれている立派な川だ。
しかし名前が変なだけじゃなく、特別な川だ。どういうことかというと・・・
なんと川の長さがわずか13.5メートルの日本一短い川なのだ。
「今でも野菜や道具、洗濯物を洗ったりと、生活に欠かせない貴重な水源です」って本当かよ。
こんな機会もないので、河口から源流までを歩いてみることに。
このあたりがおそらく中流。
そして海に流れ込む河口部分。
砂浜に水の大部分が浸み込んでしまっているが、川筋はわかる。
そしてここが源流らしい。
いったいどこからこの水が来てるのかと思ったが、地下から湧き出しているようで、確かにじっと見ていると、川底が時折ぶくぶくと。
川の名前もそこからつけられている。
そしてずっと海を左手に眺めながら南下し、ぐるぐる螺旋であがってゆく橋を渡って紀伊半島南端にある紀伊大島へ。
その東端にある「トルコ軍艦遭難慰霊碑」が目的だ。
よくトルコ人が親日派である理由のひとつのエピソードとして紹介されるのは、1890年にこの紀伊大島の沖合で発生したエルトゥールル号遭難事件。
当時のオスマントルコ帝国の軍艦エルトゥールル号が、親善使節として訪日し、その帰途この紀伊大島沖で座礁し沈没した。
通報を受けた大島村(現在の串本町)樫野の住民たちは、総出で救助と生存者の介抱に当たった。この時、台風により出漁できず、食料の蓄えもわずかだったにもかかわらず、住民は浴衣などの衣類、卵やサツマイモ、それに非常用のニワトリすら供出するなど、生存者たちの救護に努めた。この結果、樫野の寺、学校、灯台に収容された69名が救出され、生還することが出来た。
ただ大惨事には変わりなく、死亡・行方不明はなんと587名。
その慰霊の碑だ。
中には入らなかったが、近くにはトルコ記念館もある。
この一角で販売されていたのが「ホワイトサポテ」という果物。
ここで栽培してるんですよと、地元の方らしい年配男性2人が長テーブルで販売していた。
皮をむいて冷凍したものを試食させてもらったら、ねっとりした濃厚な甘さで美味しい。桃とかに近い味かもしれない。
2個300円というので、この後お会いする予定のカブ乗りの方へのお土産にしようと購入した。
そして和歌山県・・・だけでなく本州最南端の潮岬にたつ潮岬観光タワー。
その前には数十台の大型バイクが停まっていた。
相当な規模のツーリングだ。
本州最南端訪問証明書は、このタワー入場券300円を購入すると発行してもらえる。まあ実際には、この証明書が300円という感じかな。
裏面は英語版になっている。
日付だけでも入れてくれたらいいのになあ。
大型バイク集団の近くに入り込んでいく勇気はなく、ちょっとだけ離れたところの「最南端のポスト」の前に停めていたのだが、タワーを降りてきたら、その巨大ツーリングの人たち数人に私のバイクが囲まれていた。
「香取ってどこ?」
「何㏄?」
「燃費は結構いいでしょう」
など質問された。
リッター60キロ以上は行くという話をしたらびっくりされた。
大阪などから来ている人たちだそう。
途中でこの大集団に追い越されるのもあれなので、出発を見送る。
手も振ってくれ、とっても感じのいい人たち。
さらに30分以上走ってすさみの道の駅に到着したら、その手前のガソリンスタンドでしんがりの人たちが給油していた。
「とっくに高速に乗ってると思ったのに」
と思ったが、高速に向かう上り坂を見たら大勢が一列になって左端に並んでいる。どうやら高速に乗る前の最後の給油を全員行うのに相当時間がかかっていたようだ。
規模が大きくなるといろいろ大変なんだなあ。
エビとカニの水族館が併設されたすさみの道の駅。
なぜここに来たかと言うと、Facebook上で以前からお付き合いさせてもらっていた海南市在住のYさんと合流するためだ。
Facebook内のカブコミュニティで知り合い、直接友達にもなっていて、いろいろアドバイスなどもいただいている人。ただお会いしたことはなかった。
今回のツーリングのことも知り、わざわざ日曜日の午後、カブ仲間の方と一緒にすさみまで来てくれたのだ。
そしてこのお二人のカブがすごかった!!!
青山のホンダ本社で毎年開催されるカブミーティングでも、年代物の骨董品のようなカブや、カスタムしまくりの格好いいカブを見たことはあるが、実際にそれが走っているところを見たのはこれが初めて。
細部までこだわりまくりで、本当に恰好よかった。
おふたりの揃いのTシャツの背中には「キシュウカブヌシ(紀州株主)」の文字。40名くらいいるのだとか。
私の赤クロスカブも並べて記念撮影。
カブの世界ってやっぱりすごいなあと。
写真は後で貼りつけるが、そこから三台で北上し、私が宿泊予定だった南紀白浜まで。
この途中の道が本当に素晴らしい景色だった。
なにより、普段ひとりで走っているだけなので、すごいカブ2台と一緒に走っているというのはとてもエキサイティングな経験だった。
(かなりのスピードでほとんどノンストップ状態で走り続けたのも初体験だった)
「宿探しは後でもいいかな?ついてきて」
と連れていってくれたのは・・・
日没直前の円月島。
Yさんたちに連れてきてもらわなかったら、この感動風景は一生見ることもなかったろう。ちなみにリアボックスの上に積んでいるのは、Yさんにいただいた巨峰が入った箱。
サンセットで有名なところらしく、夕陽が円月島の真ん中に落ちるのを見ることができるスポットには大量の観光客。
周囲には車だけでなく、観光バスまで停車していた。
三台のカブ。
自分もクロスカブと一緒に撮ってもらった。
いやー、本当に感謝です!!!
きれいだったなあ。
その場所で二人とは別れ、私は三段壁近くの「かりゆし」というホテルに。
リーズナブルな宿だが、部屋は広くてなかなかGOOD。
せっかくなので、バイクに乗って近くの日帰り温泉施設「千畳の湯」にも行ってきた。閉館30分前だったこともあり、女性風呂は他に誰もおらず貸切。
露天風呂もよかった。
夜は宿でいただいた巨峰をつまみにビールなど。
久々天気にも恵まれ、本当にいい一日だった。
ひとりのんびり走るソロツーリングばかりの自分だけど、他の人と一緒というのも楽しいなあ。帰ったら地元のカブのコミュニティ、探してみよう。