沖縄南部の観光地・戦跡を巡る
タープテントで目覚めた朝。
夜は風がどんどん強まり、ロープで何か所も吊るしていて崩れてしまうリスクはないものの、はためきを止めるために夜中に外に出てロープを付け替えるなどの作業も行った。
「このまま眠れないのでは」
と思ったけど、気付いたら朝だったので人は割とどんな環境でも眠れるものだなあと。
タープテントはこんな感じ。
ポール一本でも木があるところなら二方向からロープで吊り上げることができるし、仮にポールがなくてもバイクを使って同様のことができそうだ。
初回と比べ夜中のトランスフォーメーションが格段にやりやすくなったのは、カラビナ導入したため。ダイソーで買った小さめのカラビナをDDタープ上部の輪っかにセットしたので、やり直しの時のロープ付け替えが楽になり、また真っ暗な夜中の作業もスムーズに行えた。
朝食時は全面をあげて。
急ぐ日程でもなかったので、もうひとつ別形態も。
タープ泊なら、キャンプと言っても荷物は減らせるので、この「かわるビジネスリュック」一個+アルファくらいで収まる。レンタルバイクでも積載可能だし、それなら離島でのキャンプツーリングも楽しめる。
ビーチのトイレ。
シャワーなどの施設はないので、入浴する場合には車やバイクで日帰り温泉まで行く必要がある。
土日は恐らく混みあうのだろうが、平日はそれほどでもない。干潮時には小さな無人島にも渡れる。
ふと見ると、地元の方っぽい年配男性がテントを巡回してはいろいろ話しかけていた。私のテントにも近付いてきたので、マスクして会釈挨拶をした。住んでいるのはちょっと離れたところだけど、ビーチ近くの畑を見に来たついでにここに住み着いた猫にエサをあげているのだという。
沖縄のこと、新型コロナの影響、台風のことなど「・・・さあ~」という沖縄独特の語尾を交えながらいろいろ話してくれたのだが、最後のエピソードにびっくり。実は沖縄生まれでも育ちでもなく、数年前に大阪から移住した人とのこと。関西弁のイントネーションは一切なく、地元の人だとばかり思ってしまったが、単に奥さんが沖縄出身だったというだけ。
なんという溶け込み方よ。
満潮の短時間を除いて陸続きになっているらしい離島。
離島側に渡ると、糸満市から那覇にかけての臨海エリアが見えてくる。那覇空港もすぐ近くだ。
白砂の上には、やどかりが貝を引きずりながら移動した後がたくさん。
そういえば、「キャンプする時には食べ物を出したまま寝るな。翌朝やどかりに全部食われているぞ」と言われたけど、今のところテント設営したところでヤドカリに襲われたことはないなあ。
ちょっと見てみたかったんだけど。やどかりの黒山を。
沿岸ツーリングのゴールである那覇市内まではバイクで30分程度なので、この日は沖縄本島南部の観光スポットをいくつかまわることにしていた。途中で見つけたのが、朝方お話しした男性が「他にもいいビーチがある」と話していた大度ビーチ。
行ってみたら、ジョン万次郎上陸の地だった。
有料駐車場と海の家的なところを管理している人に話を聞くと、キャンプはできないとのこと。
遠浅でサンゴ礁もあり、シュノーケリングの名所らしい。
最初に向かったのはファミリーマート。
テント泊で充電できなかったので、沖縄中のほとんどのファミリーマートに設置されている「充電GO!」を利用するためだ。
事前にアプリをインストールし、会員登録・クレジットカード決済登録をしておけば、後はアプリ操作でモバイルバッテリーのレンタルが可能。
レンタル料は1時間110円、1日220円。
バッテリー容量は5000mAhで、USBケーブルも3種ついている。
気を付けないといけないのは、ケーブルを接続しただけでは充電が始まらず、バッテリー側面のパワーオンボタンを押す必要があること。最初それに気付かず、スマホバッテリーをゼロにしてしまった。
そこから南部内陸部を移動して・・・
観光最終日なので、こてこての観光地「おきなわワールド」にやってきた。
この日は今までで最も天気も良く気温も高く22度。
バイクで走るにはちょうどいい暖かさだ。
新型コロナ情勢下でなければ、駐車場には観光バスがひっきりなしにで出入りし、台湾や中国本土、欧米からきた観光客もたくさんいたことだろう。でもこの日は見渡す限り無人で、歩いていて人と鉢合わせするとびっくりするくらいだった。
クラフトビールも作っている南都酒造所。
ハブ原酒の小瓶いろいろ。お土産によさそうだ。
ガラス越しにタンクやパッキング工程も見ることができる。
ビアレストランも隣接されていた。バイクじゃなければ飲みたかった!
一日に数回、伝統芸能エイサーが披露される舞台。
息の合った太鼓の音と、キレがあり躍動感に満ちた演舞。
心をつかまれるというのはまさにこういうことなのだろうなと思うくらい、真剣に見入ってしまった。
もうひとつ目が離せなくなったのは、カメ園にいたカワセミ。
瑠璃色の小さな鳥が木と水面を何度もいったりきたり。
なんとか写真に撮れないかと、限られたバッテリーで必死にシャッターを押すものの、動き速すぎてズームで追えず。
なんとか水に飛び込んだ瞬間をおさめることができたのだが・・・カワセミはどこだ?
そしてハイライトはやはり沖縄屈指の観光スポットである玉泉洞。
全長5000メートルで、鍾乳石の数は国内最多の100万本以上。
公開されているエリアは一部で890メートルだけど、それでも十分長い。しかも今回は・・・
前にも後ろにも誰もおらず!!!
水滴が垂れる音だけが響き渡る広い鍾乳洞の中、自分以外誰の姿も見えないというのは軽い緊張感があるものだ。
ふと足元を見ると、通路の上に固まりが。
玉泉洞のオープンは1972年でまもなく50年という歴史も長い観光施設だ。
自分は小学校の頃に一度ここにきている。
通路などの上に垂れた石灰を含む水滴もこうしてかたまり、また新たな鍾乳石を作っていくのだろうか。
長い鍾乳洞を抜け、地上に出るとそこは南国。
パイナップル畑。
シーサー手作りもできる陶器直売所や、藍染や紙漉きなど体験できるコーナーもあるのだが、人おらず。
強い日差しで地面には葉の影がくっきり。
観光施設内ではあるけれど、人もいない園内で南国情緒を満喫。
おきなわワールドを出た後、Facebookで沖縄詳しい人から教えてもらった直売所「軽便駅かりゆし市」に。
時間が遅かったこともあり、既に売り切れとなってしまっている台が多かったけど、それでもいろいろ面白い野菜を見つけることができた。
絶対に買って帰ろうと思っていたハンダマ。
葉っぱの色が裏表で異なり緑と赤紫。さっと湯がいてポン酢やゴマだれで食べても美味しいし、生野菜サラダに混ぜても独特の癖があっていける。1袋100円と安い。
こちらは初めて見た野菜で「カニステル」。
名前にひかれて買ったのだが、これは帰宅後に「なぜ買い占めてこなかったんだ」と後悔するほどの美味しさだった。
最後に訪れたのがひめゆりの塔。
来るのは二度目となる。
地中の穴の中に作られた陸軍病院で、負傷兵の看護や水汲み、食料運搬などの任務にあたった学徒隊。砲弾の下、南部へと撤退し追いつめられ多くの命がここで失われていった。
ここにもその時の壕のひとつが残る。
最後の夜。
那覇市内に戻り、またゲストハウス月光荘に行こうかなとも思ったが、タープ泊が楽しくなってきたので再びビーチに。ここはキャンパーが集まる北名城ビーチの少し南にある名城ビーチ。
砂浜はこっちのほうがきれいだが、車やバイクの乗り入れはできず、公衆トイレもない。
ただトイレがちょっと遠くなってしまうことを気にしないのであれば、こっちで設営しても大丈夫なのかも。
風がかなり収まっていたのと、同じ場所では進歩もないだろうということで、この日は木がないよりビーチに近い場所に。
波ひとつない海面でSUPを楽しんでいる人も。
この男性は隣にテントを張ったソロキャンパーだったんだけど、どうやら休みをとって関西からひとりでやってきた人らしく、ちょいちょい仕事の電話を受けては「すみません、実は昨日から休みをもらって今外なもので・・・」と謝っていた。
テント前で夕陽眺めながら至福の時間を過ごしている最中なんだろうから、スマホをオフにしちゃえばいいのにとも思ったけど、きっと仕事上それはできない立場なのかもしれない。
私はタープテントの設営だけ済ませ、日帰り温泉に行くため北上。
途中、産地直売所の「うまんちゅ市場」に立ち寄った。
ここはすごい!
前日訪れた南城市の直売所と比べ品揃えも格段に違う!
さらに買い足して、原付は野菜だらけになってしまった。
那覇市内から橋を渡ってこれる小さな島、瀬長島。
外周道路からの景色も見事。
那覇空港の沖合滑走路。
お洒落なお店も多数並び、デート中と思われるカップルの姿もたくさん。夕焼けスポットとしても有名なのだろう。
私の目当てはここ。
瀬長島ホテルの中にある日帰り温泉施設「龍神の湯」だ。
ここは本当に良かった!!!
何がいいって、露天風呂からの景色。
目の前に那覇空港の滑走路、その向こうに大きな夕陽。慶良間諸島のシルエットも浮かび上がる。
露天風呂は一般的に、外の人から入浴者の姿が見えてしまわないよう板塀などで目隠しがほどこされ、その隙間からしか外の景色が見えないところも多いのだが、ここは違う。
水深120㎝の珍しい立って入るスタイルの湯舟からの眺望は オーシャンビューと那覇空港第二滑走路の絶景が楽しめます。
湯船の中に階段があり、次第に深くなって最後は水深120㎝なので、肩までつかるくらいの深さ。
そして湯船の前には何も目隠しがなく、なんなら外周道路脇のテラスで記念撮影しているカップルと目が合ってしまう程。
そんな開放的な場所で、沈んでゆく夕陽を眺めることができる。
上の写真は公式サイトからダウンロードしたものだが、まさにこのままの景色だ。日帰り温泉でここまで見事な夕陽を堪能できる場所もあまりない。時間あれば立ち寄る価値ありだ。
タープテントに戻り、最後の晩酌。
前日と打って変わり風もなく、穏やかで最高のテント日和だ。
今回は木がない場所なので、替わりにバイクを支柱のひとつとして利用した。
オリオンビールと、スーパーで買ってきた魚の天ぷらなど。
泡盛のカップ酒は残波で。