<小型バイクでツーリング>四国・瀬戸内海沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>四国・瀬戸内海沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>四国・瀬戸内海沿岸ツーリング記

110ccの小型バイク「クロスカブ」で海沿いの道をただひたすら走る「沿岸ツーリング」を続け、気付けば5年目&5回目。今回は四国一周そして瀬戸内の北側・山陽地方の海岸ルートをぐるり走ります!
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【5日目】暴風の佐田岬半島を泣く泣く断念・・・道後温泉は大賑わい

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遂に懸念していた「Xデー」到来。

9月末に巨大台風24号が日本列島を縦断したばかりだというのに、その時には既に南海で誕生しており、日本にやってくることが確実となった台風25号。

幸い四国直撃にはならないものの、暴風域圏内には入る予想に。
予備日は設定してあるので、一日ツーリング中断することには問題ないのだが、そうすると8日に和歌山城で開催されるカブミーティングに間に合わなくなることは必至だ。

危なくないぎりぎりの範囲で、なるべく歩を進めておきたいところ。

▼四国・瀬戸内海沿岸ツーリング5日目動画(5分38秒)

ただお昼頃までは暴風の影響が残るらしい。

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ところが窓の外は青い空。

「こりゃ走れるかな?」

と一瞬思ったが、この後次第に風が強まり、本来波がたたないだろう入り江の湾内海面にはたくさんのウサギがぴょんぴょん。奥まった場所でこれだけの風なのだから、開けた場所では大変だろう。

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三瓶あたりは走っても問題なさそうなので、行けるところまで走ってしまってもいいのではという思いが何度も湧きおこったが、避難先がある集落ならともかく、昨日走ったような岬の先端の岸壁下の道なんかで暴風にやられ海に落ちちゃってもまずいので、おとなしく書類作成することにした。

そう・・・

「ふっこう周遊割」

の提出書類だ。

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ちなみに昨日も最高に気持ちのいい西予のコースだったが、今日も非常に期待大の場所を走る。
それは

「佐田岬半島」。

実はここには特別な思い入れがある。まだ初心な10代の頃、大学一年の旅行サークル夏合宿で、付け根から先端まで重たいザック背負ってキャンプ生活しながら歩いた場所だ。

しかしここは一度歩いているからよく知っているんだけど、尾根沿いの道だ。
風強いだろうなあ・・・難しいかなあ・・・。

10時のチェックアウト時間を過ぎたので、ロビーに下りてきてホテルスタッフと台風談義。
今回の台風は大したことないから大丈夫と話すスタッフ女性に地元の人達。そっか地元の人がそういうなら大丈夫かなと思ったけど、どうやら台風慣れした人達にとっての「大したことない」は、滅多に台風を経験しない関東もんの自分とは基準が違うようだ。

「船を避難させる必要ない程度」

ということらしく、バイクで走り出していいわけではなさそう。

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ロビーのテーブルでパソコン作業をしていたら、次々地元の人や地元出身者たちが集まってきた。どうも週末3連休にここでお祭りがあり、それにあわせて帰ってくる人も多いので、今日はこのホテルで同窓会があるんだとか。

そしてお墓参りの時に備えるらしい葉っぱを持っている人が多く(あとで調べたら「しきび」という葉なのだとか)、あとビニール袋に入れたみかんを持っている人がやたら多く、「あら私も買ってきちゃったの」などと談笑し合っている。

私までミカンもらってしまった。

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さらに隣のテーブルで繰り広げられているみかん談義があまりに興味深く、思わず混ぜてもらった。

みかんは西予が最高。
圏外の人は「愛媛ミカン」というと全部同じだと思っている(エリアによって味全然違う)。
大阪は和歌山産がほとんどで愛媛産はあまりお目にかからない。
群馬で甘いミカンだからといってもらって甘かった試しがない。
本当に甘いミカンを食べたことない人達なんだから仕方ない。
ハウス栽培じゃあ水っぽいミカンしかできない。
道の駅ではもう早生がでていて浅井さんのところのミカンが一番おいしい。

とにかく地元ミカン愛がすごい!

日照時間によって出来は全然違うので、やはり愛媛の中でも西予のミカンが美味しく、なかでも特に美味しい農家さんは何軒かあって毎年美味しいのだと。そして種類も実にたくさんあって、これからしばらく次々と収穫の時を迎えるそう。

浅井さんのミカンを買ってきたという人が二人もいたので、実際に地元では人気の農家さんなんだと思う。

実際もらっていただいたミカンは、小粒な早生のものなのに、驚くほど甘くて濃厚だった。

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西予の地元広報誌には、復興にかける地元の人達や支援に入っている人たちの笑顔と力強いメッセージで溢れていた。知人も何度となく支援に来ている場所だが、内陸のほうの川沿い集落が、土砂崩れと浸水で大変なことになっている地区だ。

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ううう、しかし出発したい・・・!

濃厚な青空でかつ気温もぐんぐんあがっている。

ところが腰を上げ、「そろそろ行こうかなと思います」とフロントの女性に言ってホテルを一歩外にでると、轟音とともに吹く横殴りの突風で、歩いていても身体が傾いてしまうほど。

「なんか・・・試されてますね、台風に」と戻ってきた私に同情の目で語るスタッフ女性。
いやほんと、試されているとしか思えない。

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ロビーにいると出発したい気持ちに駆られて仕方ないので、スタッフの提案を受けランチに出掛けることに。
街中の和菓子屋さんでは、愛媛銘菓のタルトが売られていた。

いわゆるお土産用にパッケージになったもの以外を見るのは初めて。そんな観光客がくる季節でもないので、地元の人が日常生活の中で消費するためのものなのだろう。

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フロントスタッフ女性に教えてもらったホテル並びのダイニング。

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500円のワンコインランチで肉厚のアジフライ定食を食べた。

肉厚!美味しい!

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チェックイン時からずっと変わらぬ笑顔で楽しませてくれたスタッフ女性。
元気で明るくていい人だった。

本当にありがとう。

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そして出発。

ぐるり三方を山で囲まれた三瓶の市街地も風が非常に強く、1キロも走らないうち真正面からの風でスピードが急激に落ちてしまった。ハンドルとられてふらついてしまい、このままでは後方の車に迷惑がかかりそうになったので、ウインカー出して路肩退避したほど。

いやもう「お恥ずかしながら・・・」と言ってもう一度ホテルに戻ろうかと思ったよ。

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ただ幸い、本当に風が強くて前に進めなくなったのはその時だけで、後は風強かったものの、スピード出さずに慎重に走ればバイク走行に問題があるほどではなかった。

台風到来で観光客もおらず、地元の人も外出控えているのだろう。
相変わらず車もほとんど走っておらず、独走状態の海岸ルート。

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ホテルでの地元の方々のみかん談義を聞いた後だからだろう。
山のてっぺんまで続く畑も・・・

なにやら輝いて見える。

昨日は「なにもこんな急斜面をこんなに頑張って畑にしなくても」とも思ったけど、最高に日当たりのいい場所で抜群に甘いミカンを作るためにはここじゃなくてはダメなのだろう。今朝地元の方から「これが今なら一番おいしい浅井さんの」ともらって食べたミカンは、お世辞抜きに本当に感動的な甘さだった。

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左に白波立つ海。

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そして右手には山頂まで延々と続くミカン畑。
頭上に広がるどこまでも真っ青な空。

風が強いという一点だけを除けば最高のツーリング日和だ。四国到着前からずっと心配していた台風25号だったが、実際それほど影響なくこれて本当によかった。杞憂だったな。

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・・・と安心するのはまだ早かった。

佐田岬半島のつけねにある八幡浜の市街地まで辿り着き、佐田岬メロディーラインまであと少しという道を走っていた時のこと。

対向車線の大型バイクの人が、こちらに向かって元気よく手を振ってきた。
北海道でもない上、こんな市街地で珍しいなと思いながら、こちらも同じように元気に手を振り返した。

今考えたら、きっとあのバイクの人は思っただろう。

「・・・伝わらなかったか」と。

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というのも、それから数分後のこと。

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トンネルを抜け、山の中の佐田岬メロディラインを走り始め、両側がかなり開けた場所まで登ってきたところで・・・

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突然殴られたかのような横からの強風!!!

北海道・襟裳岬などで暴風も経験し、多少ならちゃんとバランス取れるようになってきた自分も、このままだと転倒して後続の車にひかれると思い、慌てて路肩に退避。

そのまま、何度か再出発しようと思ったが、とてもとても。
風が強すぎてすぐに倒されそうになる。

四輪車も、車内でこの暴風を感じとっているのだろう。
かなり幅をとって慎重にまわりこみながら追い越していった。

さっきの大型バイクは、元気に手を振っていたのではなく

「そのまま進むとマジやばいぞ~」

と叫んでくれていたのだろう。

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写真では伝わらないかもしれないが、前方左手の木が完全に横に流されているのがわかるだろう。
倒れたバイクを起こすことすら難しかった襟裳岬の暴風ほどではなかったものの、小型バイクが安全に走れる状況ではなかった。

ここからさらに尾根にあがったら、半島の先端に近付いたら、きっともっと激しくなるだろう。

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バイクを降り、手押しでUターンし、風が弱まる港までおりてきて戦略を練ることに。
佐田岬は今回の四国一周沿岸ツーリングのハイライトだ。

どうしても行きたい。

ただこの後あの、風車も建ち並ぶ尾根づたいの道を走れるかといったら難しいだろう。なにせ、尾根より低い位置の道ですら倒されそうになったのだから。あの風車があるあたりを風と戦いながら走れるだろうか。

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風速のアプリを見ると、ここがちょうど風の通り道になってしまっているようだ。

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佐田岬半島を容赦なく煽っている。

半島の北側の海沿いに集落をつなぐ細い道があるので、そこだったら走れるんじゃないだろうかとも思ったけど、最終的には尾根伝いの道にでなければ岬まではいけない。

スピードが出せなかったり、途中で中断を余儀なくされれば、宿があるだろう先端のほうまで辿り着く前に夜を迎えてしまう。

ここに一泊して明日佐田岬チャレンジということも考えたけど、和歌山城イベントに間に合わせることを優先し、今回は泣く泣く、佐田岬をあきらめることにした。いつかリベンジしたい。

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そんなわけで、四国最西端はパスして、四国北側・瀬戸内海南側の道に入った。

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佐田岬半島の付け根から松山に向けての道も国道378号線。
西側の幹線道路の続きだ。

すぐ左手に瀬戸内海が広がり、水平線には本州の山並みのシルエットも見える。風も佐田岬半島よりははるかに弱まり、実に気持ちのいい快走ルート。

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今回の台風での被害はサイドミラーに付けていた補助ミラー。
強風でストップする少し前に吹き飛んでしまったらしい。

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背中で、太陽がかなり低い位置まで下り始めているのを感じながら走る。

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カーブも緩やかでアップダウンもないので、ついついスピードを出してしまう車も多い。私も何度か爆走する車に追い抜かれた。しかしスピードの出し過ぎは危険だ。

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途中、年配男性が両手に持った布を上下させながらスピードダウンを呼び掛けているので何かと思ったら、反対側で車が完全にひっくり返っていた。まだ事故直後だったらしく、周辺から次々人が集まり始め、消防車・パトカーとすれ違ったのはこれからかなり走った後だ。

強風の中、例えば自分がふらついて対向車線にはみ出してしまい、その時もしハイスピードで走っている車がいて急にハンドルを切ったらこんなことになってもおかしくないだろう。本当に気を付けよう。

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そして日は落ちてしまったが辿り着いた松山市内・道後温泉。
道後温泉本館のすぐ近くに無料で停められる自転車・バイク駐輪場もあったので、宿予約もまだだったがまずは温泉に行くことに。

四国に来てから見た、もっとも賑わっている観光地だ。
台風25号到来だというのにすごいなあ。

台湾・中国人など外国人の数も半端ない。

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自撮り棒で記念写真撮ってる人が多かったので自分も真似して。
顔が疲れて見えるかもしれないが、

実際へとへと。

強風の中走るというのはやはり緊張も途絶えないし、肩から指先に至るまでの筋肉も使うらしい。

バイクを降りてしばらくしても、まだ腕や指にしびれを感じていた。

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410円の入浴料金を払って中に。
館内は撮影禁止だが、昔ながらの浴室に建物はやはり味わい深く、こんな人気の観光地にもかかわらず良心的な料金だなと思った。

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本館の正面にはアーケード商店街が横たわり、なかなか素敵なお土産物が揃っていた。
バイクでなければ、あるいはまだこの後2週間近くツーリングするのでなければ買いたいものたくさんあったんだけどね。

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道後温泉エリアのホテル・旅館はお高いところだらけなので、少し離れた松山城近くのビジネスホテルに。

トイレ・シャワールームが共用でリーズナブルなお値段のところなのだが、無駄に大きなチェアが部屋においてありちょっと不思議。さらに部屋の前の通路にはコイン式のマッサージチェアも置かれていた。こんな人が通りまくるところでマッサージしないだろ・・・

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うれしいことに洗濯機無料(乾燥機だけ有料)。
走り始めて5日とちょうどいいタイミングなので、ジャケットにデニムも全部洗濯!

台風も通過して、この後はもう今のところ台風発生のニュースもないので、後はひたすら西に向かって走り、和歌山城カブミーティングに間に合うようにすること!

>6日目「無数の島が浮かぶ穏やかな瀬戸内海を眺め快走」に続く

▼四国・瀬戸内海沿岸ツーリング5日目動画(5分38秒)