<小型バイクでツーリング>四国・瀬戸内海沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>四国・瀬戸内海沿岸ツーリング記

<小型バイクでツーリング>四国・瀬戸内海沿岸ツーリング記

110ccの小型バイク「クロスカブ」で海沿いの道をただひたすら走る「沿岸ツーリング」を続け、気付けば5年目&5回目。今回は四国一周そして瀬戸内の北側・山陽地方の海岸ルートをぐるり走ります!
はじめに目的ルート計画宿泊装備GoPRO撮影絶景スポット●ツーリング記録●総括●動画
トップページツーリング記録

【15日目】江田島の旧海軍兵学校から広島・原爆ドーム、平和記念資料館で思わず涙

写真

ツーリング中はほとんど当日直前にその夜の宿を電話予約するため、夕食・朝食なしの素泊まりばかりになるのだが、ここ江田島のサンビーチおきみは素泊まり不可ということで、夕食は間に合わなかったが朝食はついた。目の前に海が広がる2階レストランが朝食会場。バイキング方式だった。

▼四国・瀬戸内海沿岸ツーリング15日目動画(4分45秒)

写真

さらに湯豆腐やオムレツ・ウインナー・数種類の漬物などは事前に席に用意されていた。
昨日、呉市内で海自カレーを食べそびれたが、朝食では海軍カレーが登場。同じものはレトルトで売店購入もできるという。

写真

チェックアウトしようとして、フロントで販売されていたオリジナルタオル大特価に気付いた。
このホテル、2018年10月31日で営業終了だそうなのであと半月。それまでに宿泊するだろう客数よるはるかに多くのタオルを在庫として抱えているのだろう。

1枚50円、ちょっと切ない・・・

写真

江田島は、実はひとつの独立した島ではなく、陸続きの能美島と隣接しており、大きなハサミをもったザリガニのような形をした島になっている。前の夜にホテルフロントで「最寄りの飲食店はどこか?」と聞いた際、「江田島に行かないとない」と言われ、「ここは江田島では?それとも江田島市の市街地のことをそう言っているのか?」と疑問だったんだけど、実はホテルがあったのは江田島市の中でも能美島側だったのだ。

少し遅めにチェックアウトし、江田島湾の最奥部をぐるっとまわりこみ、江田島側の「海上自衛隊第1術科学校」に向かった。何人かの方に勧められた場所なのだが、自由な見学はできず、1日3回(土日祝は4回)開催される定時見学のうち10時半からの回に参加するためだ。

●第1術科学校:基地見学

写真

ここもカキの養殖が盛ん。
完走後に焼き牡蠣が食べ放題という「江田島市かきカキマラソン大会」が毎年開催されている。

●やはり凄かった!かきカキマラソン! | 江田島へ行こうのブログ

以前からとても気になっている人気の大会。
いつか絶対に参戦してみたい。

写真

なんて思いながら走っていたらあっという間についてしまった。
この正門の周辺は、普通に商店など並んでいる街中なので、ナビがなかったらうっかり通り過ぎてしまったかもしれない。

すぐに中にいる自衛隊の担当者にバイク誘導されてしまったので、門の写真を撮ることもできず、これはヘルメットのGoPR撮影写真だ。

写真

江田島湾に面した広大な土地の海上自衛隊第1術科学校。
正門から入り、少し進んだ場所に「江田島クラブ」という建物があり、ここが見学者待合所になっている。余裕を見て30分近く早くついてしまったが、自衛隊施設ということで勝手に敷地内ぶらぶらすることもできないので、江田島クラブに向かった。

写真

・・・が、途中「売店・食堂」という建物があり、この売店はどうも外部の人の利用もOKそうだったので入ってみた。

写真

売店とあったのは、コンビニのポプラ。
ちゃんと自衛隊内も普通のコンビニあるんだと思いながら入っていったところ・・・

写真

品揃えは普通じゃなかった。
グローブやバッグも迷彩柄。身分証を入れるケースなんかも販売されている。支給じゃないの?

写真

下着・Tシャツのラインナップも独特だ。

写真

そして見学スタート。
年配の方中心に、かなりの数の見学者が集まり、元自衛隊OBの広報担当者がガイドを務めてくれた。

この広報担当者のトークが最高に面白い。
移動途中も、先頭を後ろ向きに歩きながらずっと話してくれるのだが、笑いを取るネタををちょいちょい交えながら、数字やいろいろなエピソードもたっぷり盛り込んでの話はまったく飽きない面白さ。すごかった。

現在は海上自衛隊の教育施設となっているが、ここはもともと士官養成のための海軍兵学校。

明治2年(1869年)に東京・築地に「海軍操練所」が作られたが、その後明治21年(1888年)にここ江田島に移設された。
築地は近くに一台繁華街もあり、エリート教育上好ましくないというのが理由のひとつだったそう。

それにしてもいきなりの島生活。
最初は建物すらなくて軍艦内に寝泊まりしたんだとか。在校生はショックだったろうなあ。

この大講堂は1917年に建てられたもので、今も昔も入校式・卒業式などに使われている。一般の人が利用していいのはこちら側の出入り口で、反対側は天皇陛下など皇族のためのもの。

写真

吹き抜けの内部は2000人の収容力があり、アーチを描いた天井も美しい。

写真

卒業式では首席の人が1番目、その次の人が2番目、3番目と続くと解説する広報担当者。
なあんと成績トップの人だけでなく、ビリまでがすべて成績順に並ばされたんだとか。シビアだ・・・。ちなみに今は成績トップクラスの人以外は身長順らしい(名前順だったかも、記憶曖昧)。

写真

真っ青な空に映える、赤レンガ壁の幹部候補生学校庁舎。
海軍兵学校の時代は生徒館。

1893年に作られたもので、イギリス人建築家が設計したそう。

写真

古い大学の校舎も次々立て替えられている今、現役で稼働している明治建築は本当に貴重だ。

写真

しかもかなり遠くまで下がらないと写真に収められないほど、横に長い建物。
NHK「坂の上の雲」の撮影ではこの建物も使われたという。

写真

外回廊も。
こんな環境の中で学べるって、それだけで素敵だなあ~!

写真

そんな歴史的建造物の解説をしてくれている最中なんだけど、建物とは反対側、湾に面した芝生エリアからひっきりなしに号令が聞こえるのでついつい気になって振り返ってしまう参加者一同。現役の海上自衛隊員たちが匍匐前進の訓練中だった。

写真

その後、敷地内の教育参考館。
ギリシャ神殿風の建物で、ここは自由見学となった(内部は撮影厳禁)。

教育参考館には、戦前約40,000点の歴史的資料が保存されておりましたが、終戦時、一部の貴重な資料を厳島神社、大山祗神社等に奉納した他は、進駐軍による没収を恐れ焼却処分とされました。 現在は、返却された資料等約16,000点を保存しており、そのうち約1,000点を展示しております。 主な展示資料

・勝海舟の書
・広瀬武夫中佐の資料
・佐久間勉大尉(第6潜水艇長)の遺書
・海軍将校の書
・特攻隊員の遺書
・横山大観画伯の富士を描いた作品「正気放光」

貴重な資料がびっしりで、とりわけ明治維新以降の近代史に興味ある人にとっては結構感動大きいだろうものも。
特攻隊員の遺書なども真剣に読んでしまう。

時間が限られているので、どうしても駆け足にはなってしまい、おそらくここ目的で二度目三度目の見学コース参加する人がいるんじゃないだろうかと思ったほど。

そうして1時間半の見学コースはすべて終了となり、再び江田島クラブに戻ってきてそこで解散となった。
ツーリング後半で、ほぼ半日をつぶしてしまうのはどうかと悩んだが、やはり来てよかったと思う。

写真

江田島クラブ内には、お土産物や自衛隊員向けの衣服や生活用品などを販売している店もあり、あとレストランもあった。

写真

自分が買ったのはこのベルト。
バイク用のデニムがここ2年でお腹周りゆるゆるになってしまい、ツーリング中も頻繁に引き揚げていたので。穴がないベルトは実用的でとっても便利。頑丈そうだし。

写真

海軍カレーにひかれたが、ちょうどお昼時だったこともあり関係者の人でかなり賑わっていたのでやめた。

写真

そしてここでちょっとショートカットすることにした。
橋&陸路で呉まで戻るのではなく、江田島東岸の小用港からフェリーに乗り呉に向かうというコースだ。

こういう時、バイクって言うのは本当に自由でいいなあと。
12:45の便がすぐにやってきた。

乗船料は390円、125㏄未満の自動二輪車が230円。安い!

写真

写真

乗船時間は高速船で約10分、フェリーで約20分。
昨日、芝生に座ってフライケーキを食べていたすぐ前の港に戻ってきた。

写真

そこから広島へ。
呉市・広島市は今年7月の大豪雨で大きな被害を受けた地域で、土砂崩れが至る所で発生した。

呉─広島間の広島呉道路、海沿いの国道31号、JR呉線も交通遮断された。
今回ずっと国道31号を走って西に向かっていたが、至る所でその跡がみられ、また倉敷同様今も多くのボランティアたちが復興活動に参加しているようで、そのための誘導立て看板なども頻繁に見た。

写真

そして広島市内に。
複数車線の広い道の中央を、レトロな配色の路面電車が走る

路面電車のある町を走るのは、2年前の九州一周沿岸ツーリングの長崎以来かも。慣れていないと右折の時に結構戸惑うんだよね。対向車線だけ見ていて曲がろうとしたら後ろから路面電車が来てたりして(しかも走行スピードがゆっくり)。

写真

広島平和記念公園の周囲を2周半くらいした後やっと見つけた地下駐輪場。
小型・大型バイクともに満車表示がでていたが、ダメ元で事務所のところまで行ってみたら、大型バイクスペースに空きがあり停めさせてもらえた。

写真

広島原爆ドーム。
1996年に世界遺産に登録され、私が訪れた時も世界中からの人が見学に集まっていた。

写真

昨年採決された核兵器禁止条約では、核兵器保有国と非保有国がともに参加する枠組でないということで米国に歩調を合わせ反対にまわった日本。
日本政府が提出し続けてきた核兵器廃絶決議案の内容が後退しているとの指摘もあり、トランプ政権下でふたたび米ロ中の軍拡競争が再開するのではとの懸念も広がっている。

写真

核兵器のない世界は実現するのか。
どう実現させられるのか。

写真

対岸に回ると、在りし日の広島県産業奨励館の写真が掲示されていた。

写真

折り鶴を大きく広げた原爆の子の像。
2歳の時に被ばくし、その10年後に白血病で亡くなった佐々木禎子さんの同級生たちが募金を集める運動を展開し作ったものだ。

●キッズ平和ステーショントップ

写真

その後、広島平和記念資料館へ。
本館は現在耐震・リニューアル工事が行われており、開館は来年2019年春の予定。

写真

隣接する東館は2017年4月にリニューアルオープンしており、「導入展示」「核兵器の危険性」「広島の歩み」の3つの展示ゾーンや企画展示が行われている。

写真

導入展示では、原爆投下前の、戦時下ではありながらも活気あり笑顔あふれる広島の下町風景や子供たちの集合写真などが壁前面に展示されていた。

写真

そこから一転、原爆投下後の地獄絵のような惨状が展開する。

写真

写真

写真

原爆ドームや平和記念公園内同様、こちらも外国人観光客や修学旅行や社会科見学で訪れている小学生たちでごった返していた。

写真

みな、真剣な表情だ。

写真

毎年8月6日に広島市長が世界に向けて発表する平和宣言。
今年の平和宣言の全文もここに展示されている。

●広島市 - 平和宣言【平成30年(2018年)】

写真

写真

思わずこらえきれず涙してしまったのは、中学一年生だった子供を探して歩き回った母親の手記だ。

写真

やっとこれた広島は、想像以上に重たくずっしりきた。

写真

お昼も食べずだったので、Facebookで推薦してもらった「お好み焼きゆうゆう」へ。
広島駅からもすぐの、高架下の小さなお店だ。

写真

デラックスならカキ入りとのこと。
お値段もなかなかいいけど、海沿いを走って見続けてきたカキ養殖場で育った広島のカキ。食べたいなあ。

写真

テーブル数組とカウンターのみの狭い店内の厨房では、しゃきしゃきと元気に話すおかみさんがすごい勢いで注文を次々と広い鉄板の上でこなしてゆく。

写真

私は、1200円のスペシャルにカキをのせてもらった。
1個はわざわざ、ソースをつけずにそのまま食べるようにしてくれた心遣い。

写真

ぷりっぷりでみっちり身が詰まっていて本当に美味しい。
おかみさんが「一番おいしいのを使ってる」と自慢した蕎麦も確かに美味しく、また来たくなる店。ここは確かにいい!!!

写真

駅前の交差点で信号待ちしていると、その一角に小さな井戸ポンプ。
戦前からあった被ばくポンプとのこと。

写真

広島市内はホテルもかなり高めだったので、しばし西に進み、JR宮島口すぐ裏の駐車場一角にある「ヒロシマファンの宿」なるゲストハウスに。

写真

写真

野球はまったく見ず、もちろん広島カープファンでもない自分がここにいてしまっていいのだろうかとドギマギするような建物内。広島だなあ。

写真

男性と女性それぞれのドミトリールームがある中、男性用は今日だれも人がいないということで、ラッキーにも独占利用させてもらうことに。

移動距離はそれほど長くないが、江田島の旧海軍兵学校そして広島と、濃い一日。
そういえば、海沿いの国道を走っていて、下関という文字が標識に出てくるようになった。
今回の沿岸ツーリングも残り2日。

>16日目「山口県に入り錦帯橋~周防大島をのんびり一周、夜はなぜかひとり焼肉」に続く

▼四国・瀬戸内海沿岸ツーリング15日目動画(4分45秒)