房総半島素掘りトンネルナビ
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房総半島に数多く残る「素掘りトンネル」。林道にひっそり佇むトンネルはまるで別世界へといざなう入り口のよう。素朴なトンネルの内壁には美しい地層も浮かび上がり、ツーリング目的地としても人気です。主要な素掘りトンネルへの行き方やおススメルートなどをご紹介します。

台風15号後の房総半島素掘りトンネル調査レポート

写真

2019年9月に千葉県を襲った台風15号により、多くの家屋や建造物が甚大な被害をこうむり、また街中や山中では多数の倒木が発生しました。管理人は9月13日以降、館山市や南房総市などでボランティアとしてがれき撤去作業等に従事してきましたが、素掘りトンネル群そして林道がどのような状況になっているのかもずっと気になっていました。

10月5日(土)~6日(日)、台風15号到来以降はじめて素掘りトンネルを訪問し、写真を撮影することができましたので、現状をレポートいたします。今後の房総半島ドライブやツーリング、旅行の際の参考にしていただければ幸いです。

なお復旧作業は急ピッチで進んでおり、状況は刻々と変化します。この調査レポートは管理人が訪れた時点のものですので、最新の状況はご自身でご確認ください。
また主要な道路の倒木撤去は既に完了しておりますが、道路脇には折れて他の木にもたれかかった状態の木が多数残り、崖に面した道では落石の危険性もあります。土砂や落ち葉が蓄積した道ではタイヤのスリップも起こりやすくなります。

通行止めの指示には従い、またそうでない場所でも周辺の状況をよく確認し、怪我や事故のないよう十分に注意をしてください。

見学可能なトンネル(2019/10/6時点)

柿木台第一トンネル

<千葉県市原市柿木台>将棋の駒のような五角形が連なるトンネル。「永昌寺トンネル」が全面通行止めで、「柿木台第二トンネル」も周辺で倒木があり、またその北側の道路でアスファルト陥没を伴う崖崩れがあるため月崎駅から2つのトンネルを経て来るルートは利用できないが、飯給駅側からのルートおよび県道81号から養老川を越えてトンネル南側の道に合流するルートで訪れることが可能。

月崎トンネル

<千葉県市原市柿木台>抜けた天井から青空が広がる個性的なトンネル。いちはらクオードの森の少し手前から「林道月崎1号線」を入っていったところにあり、倒木や崖から落下してきたと思われる岩などが道の脇に積みあげられていた。先が行き止まりで車の場合Uターンが難しく、林道入り口には「一般車両通行不可」とある。部分的に土砂や落ち葉などが堆積しており注意が必要。またトンネル前後にも倒れ掛かった木などがあるので、訪問時には頭上にも気を付け、トンネル開口部の下などに長時間滞在することは避けたほうが安全と思われる。

向山トンネル

<千葉県夷隅郡大多喜町葛藤>二階建ての神秘的なトンネルで、SNSでも話題になり観光客も多い。養老渓谷温泉の中心地にあり、県道81号からもすぐの場所で、訪問時点では台風15号の影響等もなく、問題なく見学・通過することができた。紅葉シーズンで養老渓谷温泉自体の観光客が増えるとかなり混雑する場所。なおすぐ近くにある養老渓谷の遊歩道は閉鎖となっていた。

三島ダムL字素掘りトンネル

<千葉県君津市正木>徒歩のみで通行可能な横抗があり、そこを進むと湖のほとりの小さな祠に辿り着く神秘的なトンネル。三島ダム(三島湖)の湖岸の公園のような一角から始まる2連のトンネルで、公園内には多くの倒木があるが、道路からは撤去されており通行に支障はなし。トンネル出口を倒木が塞いでいるということもない。トンネルの先に小さな集落があるので、そこの住民が日常的に利用していると思われる。祠周辺には落ち葉や小枝などが多数堆積していた。

燈籠坂大師の切通しトンネル

<千葉県富津市萩生>そそり立つ迫力の壁面に圧倒される切通トンネルで、房総半島ツーリングの立ち寄り先としても人気の場所となっている。すぐ近くが鋸南町で台風15号の被害が甚大だった場所だが、特にこのトンネル周辺には被害の跡は見受けられず、問題なく見学・通過することができた。

<今回調査しておらず>奥米隧道(奥米トンネル)

<千葉県君津市奥米>オレンジ色に輝くくねくね蛇行トンネルで、林道ではなく、国道410号と並行して走る舗装道路上にあるトンネル。今回調査には訪れていないが、通行止めとの情報もないので、問題なく通ることができると思われる。

見学不可・困難なトンネル(2019/10/6時点)

柿木台第二トンネル

<千葉県市原市柿木台>吸い込まれるような美しい曲線美のトンネル。「永昌寺トンネル」と「柿木台第一トンネル」をつなぐ細い道の途中にあるが、「永昌寺トンネル」が全面通行止めとなっており、県道81号から養老川を越えてこのトンネルの南側に合流するルートもあるが、トンネル開口部のすぐ南側に大きな倒木があり10/6時点ではその撤去作業が完了していなかった。トンネル北側にはアスファルト陥没を伴う崖崩れがあり通行止め。

永昌寺トンネル

<千葉県市原市月崎>養老渓谷に向かう県道172号沿いで月崎駅からも近くアクセスしやすい五角形のトンネルだが、県道側(南側)の出口には全面通行止めとの看板が出ている。中に入らなくても手前側からトンネルを見ることは可能。また県道81号から養老川を越え、永昌寺トンネルの北側に出るルートがあるが、観音掘りの美しい形状がよくわかるのは南側なので、回り込んで反対側を確認する必要はないと思われる。

<仮名>小田代トンネル1号

<千葉県夷隅郡大多喜町小田代>林道にひっそり静かにたたずむ門のようなトンネル。二階建てトンネルこと「向山トンネル」からさらに奥に進み、「房総ふれあいの道」と標識がある細い道をのぼった先にあるが、途中、崖上から落下したと思われる巨大な倒木と小さな岩が積みあがっていて、車やバイクでは通行できない状態。トンネル自体の出口には倒木などはなく、特に崩落個所などもないが、道が封鎖状態なこともあり周辺・トンネル内には落ち葉がかなり堆積していた。

<仮名>小田代トンネル2号

<千葉県夷隅郡大多喜町小田代>大地の割れ目に滑り込むスリリングな体験ができるトンネル。二階建てトンネルこと「向山トンネル」からさらに奥に進み、「房総ふれあいの道」と標識がある細い道をのぼった先、「<仮名>小田代トンネル1号」の少し先にあるが、1号のトンネル手前に倒木・落石が積みあがった場所があり進入は困難。また2号のトンネル正面にも何本かの木が倒れ道を塞いでいる。トンネル自体の開口部は特に塞がれているなどなく、トンネル内も落ち葉等が堆積している以外は変化なし。


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上記は管理人が訪れた10月5日・6日時点での状況です。最新の状況はご自身にてご確認ください。また「見学可能」としたトンネルでも、途中の道やトンネル周辺にて倒木・落石の可能性はあります。十分に注意をし、事故にあったり地元の方に迷惑をかけることないようくれぐれもお気を付けください。