房総半島素掘りトンネルナビ
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房総半島に数多く残る「素掘りトンネル」。林道にひっそり佇むトンネルはまるで別世界へといざなう入り口のよう。素朴なトンネルの内壁には美しい地層も浮かび上がり、ツーリング目的地としても人気です。主要な素掘りトンネルへの行き方やおススメルートなどをご紹介します。

二階建ての神秘的なトンネル

向山トンネル

写真写真写真写真

「濃溝の滝」に続くインスタ名所になるのではと話題の「二階建てトンネル」こと向山トンネル。養老渓谷温泉の中心地にあり、県道81号からもすぐの場所のため、路線バスでも訪問可能。

このトンネルの最大の特徴は、坑道の途中、突如頭上に現れる「窓」。もともとはここがトンネル西側の出口だったが、その先の道との接続の関係で昭和45年に掘り直しが行われ、さらに先かつ下位置に新たな出口が作られた結果、元々の出口が窓のようにぽっかり空いた不思議な二階建ての構造になった。西側出口上部には「共栄トンネル」と刻まれており、2つの名をもつ非常に珍しいトンネルだ。壁面上部には防空壕の穴が二か所ある(県道側出口から入り右側)。

西側出口を出て右側には砂利を敷き詰めた駐車スペースがあり、そこから斜面を登っていくと、旧出口が見下ろせる場所に辿り着く(砂防のためと思われるコンクリ壁が設置されているので、そこから先には入らないほうがいい/窓部分に柵はなく転落すると危険)。

両出口は補強工事も施されたアーチ形の一般的なトンネルだが、中に入ると素掘りトンネルの上にコンクリ吹付が施されており、壁面のでこぼこが黄緑色に浮かびあがり幻想的。

記念写真を撮る歩行者も多いため、車やバイクで中に入る場合は十分スピードを落とし注意して走行する必要がある。またトンネルの先には旅館などもあり車通りはそれなりにある。中で写真を撮りたいなら徒歩で。

概要

住所千葉県夷隅郡大多喜町葛藤
全長115メートル
建設時期未確認/昭和45年に掘り直しが行われた
駐車場近隣に有料駐車場あり
トイレ近隣に公衆トイレあり

アクセス

<車・バイクの場合>

県道81号線を南下し養老渓谷温泉街の中心部付近/周辺に有料駐車場あり

<公共交通機関の場合>

小湊鉄道養老渓谷駅から路線バス(養01「栗又・ごりやくの湯行き」)乗車5分、弘文洞入口バス停下車徒歩1分

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動画

▼向山トンネル─バイク(1分12秒)/YouTubeで見る

▼向山トンネル─徒歩(1分23秒)/YouTubeで見る

訪問レポート

写真

養老渓谷温泉のメインストリート、県道81号線を南に向かう途中の右手、少し奥まったところに"二階建てトンネル"こと向山トンネルの入り口がある。

この入り口、実はちょっと見落としやすい。

県道81号線にはトンネルを指し示す標識はなく、またトンネル入り口も少し奥のほうにあり目立たないからだ。

なので事前にGoogleマップのストリートビューでチェックしておくといいかもしれない。
「奥養老バンガロー村→」という看板が出ているので、それが目印だ。

それなり車も通行する道だしトンネル内なので当然だが駐停車禁止。
なので写真を撮りたい人は、近隣に駐車して徒歩でトンネルに入ろう。もちろん写真撮影は他の車やバイク、自転車に十分注意して行う必要があるが。

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ただ実際には、トンネルをふさいでしまっている車はいる。
バイクを停めて記念撮影している人なども。

そんな時は仕方ないので外で待とう。
狭いトンネル内で何台もどん詰まってしまうのはいろいろ危険だと思うので。

入り口付近はきれいなコンクリアーチ形の普通のトンネルだが・・・

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中に入ると素掘りトンネルにコンクリ吹付した、内壁でこぼこの奇妙なトンネルに。

そして最大の特徴はこの「天窓」だ。
上部も下部も中央部分に丸みを帯びているので、連結してまるでひょうたんのような形に見える。

もともとは天窓部分がトンネルの西側の出口だった。
ただこのトンネルのすぐ先は養老川にかかる橋で、元の出口の場所から橋まではそれなり高低差がある。それでトンネルを掘り直ししてさらに深くかつ長いトンネルにした結果このような形になったのだという。

写真

もとの出口は塞がれないまま、まるで明り取りの窓のようになっている。天窓の下から先は再び、アーチ形の普通のトンネルだ。

よく見ると、アーチ型トンネルの上部には土嚢袋が積み重ねられている。外からの土砂あるいは降雨時の水がトンネル内に流れ込むのを防ぐためだろうか。

さらに上記の写真だと少々わかりにくいが、実は内壁右側の上部には、防空壕の大きな穴が残っている。まだトンネルの掘り下げをする前で、今とは違う高さに路面があった時代のものだ。

写真

大きな穴と小さな穴、二か所ある。手を伸ばしてスマホで中を撮影すると、ゴミなどが溜まっていた。誰か観光客が投げ込んだものだろうか。

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天窓の下あたりから振り返ってみた。

写真で見ていた時は、この緑色は何なのだろうと不思議だったのだが、照明の波長の関係でこうなっているのだとか。

なかなか幻想的だ。

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西側の出口。

トンネル上部には「共栄トンネル」と刻まれている。

1つのトンネルに2つの名前というのは不思議だが、新しく掘りなおしたほうのトンネルにも名前をつけたのだろう。ややこしいことを・・・。

この西側出口をでて右側には少し広いスペースがある。<
道挟んで反対側に温泉旅館「川の家」があるので、そこの駐車場かもしれない。

その一角を登っていくと、天窓部分を外から見ることができる場所がある。

写真

特に明確な道はもう残っていないが、観光客が通るのか獣道のようになっている。

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数十メートルもあがると砂防ダム的なコンクリート建造物がある。よく見るとコンクリ吹付した隅っこと思われる箇所も。

そして先にはトンネルの天窓部分が見える。

写真

天窓部分には柵などもなく、すぐトンネルだ。
写真を撮っていてうっかり足を滑らせてしまうなんてことにもなりかねないので、コンクリート建造物より先にはいかないほうが安全だと思う。落ちたら高さは3メートル以上、車も走っている道なので。ここからでも十分トンネル内も見える。

旧・西側出口は思ったより小さかった。

ここを昔の人達が往来していたのだなあと思うとちょっと感慨深い。まさか数十年後に「インスタ映え」とか言って大勢が集まってくる人気スポットになるとは想像もつかなかったことだろう。