三島ダム(三島湖)の北側、湖岸の公園のような一角から始まる2連のトンネル。他の素掘りトンネルとも大きく異なる特長がいくつもあり訪れる価値あり。
手前のトンネルは素掘りトンネルの中でもかなり長めかつ内部で直角に曲がっていて、途中までは出口の光も見えないかなり暗い中を進むことになる。照明も最小限となっているため、徒歩で入る場合には懐中電灯が必須だ。壁面にはトンネルの掘り跡も残っている。
さらなるサプライズは歩いて通れる「横抗」の存在だ。2本目のトンネルに入り半ば程のところ、右手に突如現れる横坑はかがんだりせず人が歩いて入れる高さのもの。最後は数段の階段となり、外にでるとそこは湖のほとり。白色の絶壁沿いに設置された階段をさらに下りてゆくときれいな祠が。Googleマップには「八雲神社」と記されている。
内壁には堀跡も残り、ごつごつした壁面は暗さとも相まってなかなか雰囲気がある。トンネルの先の道を進むと小さな集落があるが道はそこで行き止まりとなる。秋には美しい紅葉も観ることができる。
概要
住所 | 千葉県君津市正木 |
全長 | 85.0メートル/85.5メートル |
建設時期 | 未確認 |
駐車場 | 近隣に駐車場あり |
トイレ | 近隣にトイレあり |
マップコード | 309 783 226*41 |
アクセス
<車・バイクの場合>
国道465号(房総半島南部を横断する道)と国道410号(房総半島中央部を南北に縦断)が交わる場所からすぐ/周辺に駐車場あり
<公共交通機関の場合>
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動画
▼梅ノ木台1号・2号隧道(三島ダムL字素掘りトンネル)─バイク(2分35秒)/YouTubeで見る
▼梅ノ木台1号・2号隧道(三島ダムL字素掘りトンネル)─徒歩(3分44秒)/YouTubeで見る

訪問レポート
三島ダムの北側は、ちょっとした公園のようになっていて、駐車場付きの公衆トイレなども設置されている。トンネルの入り口はその一角にさりげなく存在する。
入り口はコンクリで補強されており、「この先行き止まりにつき通り抜け出来ません」と書かれていること、さらに中が真っ暗で出口がまったく見えないことから、ここを目的地にきたのでなければ間違いなく入らず引き返しただろう。
中に入ってみるとこのトンネル、途中でかくっと直角に折れ曲がっている。そりゃ出口が見えないはずだ。照明はかなり数も絞られているため暗いが、流石にこのL字部分は明るく照らされていた。
トンネル内壁はコンクリ吹付補強が施されているが、元々の壁面のでこぼこがしっかり浮かび上がっており、まるで木彫りの彫刻の表面のよう。これはトンネルを掘った時の堀跡なのだろうか。
1つ目のトンネルを出ると、右手に湖が現れ、さらにその先にもうひとつのトンネルの入り口が待ち構えている。
その2つ目のトンネルの中から外を写したのがこの写真。紅葉シーズンで、湖畔にも美しい紅葉が広がっていた。暗い世界からアーチ型に切り取られた秋景色はなかなか美しい。
・・・ああ、これで「落石注意」看板さえなければ。
そして2つ目のトンネルの途中に突如現れる横坑(写真は横坑の出口からトンネル本道を写したもの)。
かがんだりすることもなく普通に歩いて行ける高さだ。ただし車は無理で、バイクもうっかり入っていったらUターンすることはできず、最後そのまま後ろ向きに押して戻らないといけなくなる。というのも、横坑の出口の先は下り階段になっているからだ。そして目の前に広がるのは・・・
湖!と紅葉!
結構感動する瞬間。
横坑出口の階段は右に折れ、下りきった先には小さな祠。白い奇岩ともいえる崖の合間に放り込まれたかのような建物は、地図で確認すると「八雲神社」と記されていた。横坑は、地元の方がここに参拝するために作られたものだったのか。
房総半島紅葉ツーリングとして一緒にやってきた5人で記念撮影。
2つ目のトンネルの先の出口は植物に覆われなかなか趣あるものに。さらに進むと小さな集落があり道は行き止まりになるとのこと。そこに住む方々にとってはこれが生活道路なのだと思うとちょっと不思議。
再び2つのトンネルを通って湖脇の公園まで戻ってきたが、神社はこの位置からは全く見えず。あの祠は本当に存在していたのだろうか・・・そんな異次元ワープ感すらある素掘りトンネルだ。